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ひきこもりをめぐる「8050問題」が深刻化

「小柄でかわいらしいかたでした。『元気?』と聞くと、いつも明るく『元気だよ』と返事が返ってくる。意志が強くて、わが道を行くようなところもある人で、『生活保護は受けないの?』と一度聞いた時、すぐに『受けていない』ときっぱりと答えました。人の世話にはならない、という気持ちが強かったのかもしれません」

◆ひきこもりの原因は受験の失敗、職場の人間関係など様々

 捜査関係者によると、遺体発見時、冷蔵庫の中は空だったというが、ストーブには灯油もあり、現金も9万円残っていた。なぜ娘は母の死後、生きることを選択しなかったのか。

 昨今、こうしたひきこもりの長期化で親子共々高齢化し、80代の親と50代の子供が暮らす世帯が社会から孤立し、生活に困窮する「8050問題」が深刻化している。

 内閣府は、「趣味の用事の時だけ外出する」「近所のコンビニなどには出かける」「自室からほとんど出ない」といった状態が6か月以上続く人をひきこもりと定義している。

 KHJ全国ひきこもり家族会連合会の調査によると、自治体窓口にひきこもりに関する相談を寄せた年代は40代がもっとも多かった。ひきこもりの原因は、受験の失敗、職場の人間関係がうまくいかない、親子間の価値観の違いなど、人によりさまざまだ。

 その背景について、『大人のひきこもり 本当は「外に出る理由」を探している人たち』(講談社現代新書)の著者で、ジャーナリストの池上正樹さんが指摘する。

「1980年代後半のバブルの崩壊と、2008年のリーマン・ショックは大きく関係していると思います。終身雇用制度は崩壊し、“派遣切り”も横行。企業側に余裕がなくなって、職場にいると自分が壊されるという防衛反応から、ひきこもらざるを得なくなる人が増えました。

 8050問題の背景にある“ひきこもり”長期高齢化を生んだのは、親世代に根づく“恥の文化”が大きい。“モーレツ社員”などと呼ばれて、高度経済成長期を支えた世代の人にとっては、ひきこもる子供の心が理解できず、周囲には知られたくないばかりに、世間から子供を隠してしまうのです。

 とりわけ、ひきこもる女性の場合、“家事手伝い”という名目にすり替えられ、ひきこもっている人数にカウントされずに埋もれていく。今回のケースはその典型です」

※女性セブン2018年4月19日号

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