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親の介護は情報が命、子が独身なら情報を引き出す姿勢で

介護は情報が命

 ある日突然、親の介護が始まり、困惑して頭を抱える。

 特にシングル(独身者)は結婚などの人生設計崩壊の絶望感に襲われることも。先の見えない不安に困惑している家族介護者は多い。介護は、介護される人だけでなく、介護する家族(介護者)の人生の問題でもあるのだ。

 自身も在宅で母を介護する現役介護家族の立場にあって、介護家族の大きな課題でもある“仕事との両立”のための情報発信を行っている、介護離職防止対策促進機構代表理事の和氣美枝さんに、介護家族としての心構えや情報の探し方を聞いた。

「もし病気になったら、医者に行くなり市販薬で様子を見るなり、何をすればよいかはたいていの人が知っていて、選択肢も持っています。では、親が要介護になったら?」と、和氣さんはまず聞いた。

 多くの場合、困って初めて“どうすればよいか”を考え、答えを見つける術さえ知らないことに気づく。

「それが今の日本の現状です。何をすればよいかわからず、一歩も前に進めずにいる人はとても多い。それどころか、目の前の状況が“介護”だと気づかないこともあります。実は15年前の私もそうでした。母の場合、病気入院から始まったこともありますが、すぐに介護という認識は持てなかった。それでも看護師さんに言われて母のおむつを買いに行く道で、思わず泣きました。誰にとっても親が要介護になることは、受け入れ難いこともよくわかります」

 それでも要介護者(親)の状態はどんどん変化していく。どうすればよいかわからないパニックから離職に走る人も少なくなく、年間10万人もの人が介護離職をし、今や社会問題にもなっている。

「実際に、介護離職をした人の多くが、介護開始から1年以内に離職をしているというデータもあります。

 今まで経験したことのない状況、ストレスに見舞われ、親の生活支援や手続きなどに時間を取られて仕事に支障をきたし、“介護が必要な親を放っておくわけにいかない”“仕事を辞めるしかない”と思い込んでしまうのです。

 離職をすると当然のことながら経済的に苦しくなります。そして仕事をしないことで社会との接点を失い、経済的な不安も相まって精神的なストレスも大きくなります。さらに、介護のために仕事を辞めたからと、家事も身体介護も見守りも、24時間態勢で抱え込みがち。肉体的にもかなりの負担になります」

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