ただし、さすが百戦錬磨の麻生大臣、ちゃんと打つ手は打っています。
13日朝の閣議後の会見で「(報じられたセクハラ発言が)事実だとするなら、それはセクハラという意味ではアウトだ」と、注釈付きで方針を変更する可能性も示唆しました。部下をしっかりかばう一面を見せつつ、展開によっては「あらかじめ言っているように、ちゃんと対処します」と毅然とした厳しい上司のフリもできます。いや、麻生大臣がそこまで計算しているのか、これは逃げ切れないという情報が入ったのか、そのへんはわかりませんが。
その後の13日午後、「週刊新潮」側が次の手を打ちました。「セクハラ発言」の音源をネット上で公開。たちまちのうちに勢いよく拡散しました。音源では、女性記者の発言部分は消されていますが、福田氏の発言として「じゃ、予算通ったら浮気しようか」「手しばっていい?」など、聞いている方が恥ずかしくなってくるセリフがはっきり確認できます。
会社で部下をかばう場合も、たとえ黒でもとことん味方し続けるという流れにしてしまうのは、あまり賢明ではありません。「もし事実なら」と前置きしつつ、厳しい処分の可能性も示しておくのが、とばっちりを避けるための用心深い切り捨て方と言えるでしょう。やむにやまれず断腸の思いで泣いて馬謖を斬る苦渋の決断……という態度を強調すれば、少なくとも自分自身は「切り捨てた」という事実から目を背けることができます。
どう聞いても福田氏が言っている音源が公開されて、麻生大臣としてはどう出るのか。この記事が公開されるまでにも、何か動きがあるかもしれません。きっとまた、凡人には思いもよらない大胆な対応で、たくさんの教訓を与えてくれるでしょう。その言動をしっかり注視したいものです。真似したいかどうか、そういうことができる人になりたいかどうかはさておきとして。