国内

熟女ブーム最盛期に美魔女ともてはやされた45歳ホステスの末路

熟女ブームのときは美魔女ともてはやされたものの…

 ブームとは常に儚いものだ。昨年、大ブームとなりそこらじゅうで販売されていたハンドスピナーも、近頃は売っている場所を探しに行かねばならない。ブームによって一定数の愛好者は生まれたが、それはマジョリティではない。かつて熟女ブームにのったものの、窮地に追い込まれつつあるシングルマザーの体験談から、ライターの森鷹久氏がブームの深層を探った。

 * * * 
「熟女ブーム」という言葉が世に広まってから何年も経つ。年老いても美しい、生き方が魅力的、といった中高年女性が増えた、などの理由もあろうが、アダルト業界、風俗業界関係者にとっても、この“ブーム”は新たな商機だった。

「かつては、中高年女性がアダルトビデオに出たり、風俗店で働いても、ほとんど需要がなかった。ただ、日本の高齢化が進み、相対的にこれらの人々の需要が増えたことで“ブーム”になっただけ。本家の“熟女ブーム”だって同じで、中高年がメインの社会になってきたから、新たなカネもうけをしようとメディアが煽ってるだけでしょう」

 こう吐き捨てるのは、大手アダルトビデオメーカー幹部。ブームの裏にはいつも“カネ”が絡んでいることは今さら指摘するまでもないが、このような冷静な見方をされると、侘しさすら感じてしまう。また幹部が指摘するように、すでに熟女ブームは「かつてのもの」となりつつあり、ブームの風に乗っかろうとする人、しがみつこうとする人々の墓場が形成されつつある。

 東京・下町エリアの歓楽街に「熟女在籍」を標榜するスナックやキャバクラ、性風俗店が点在するエリアがある。このうちのキャバクラ店に勤める舞さん(仮名・45歳)も、自身が今まさに「墓場」にいることを認識している一人だ。

「30代前半で離婚してシングルマザーになり、間もなくキャバクラで夜のバイトをし始めました。もっと若くないと採ってもらえないかなと、ダメもとで面接を受けに行ったのですが、折しも熟女ブーム。三十代後半ころまでは、美熟女、美魔女などともてはやされて、それなりの生活ができたのですが……」

 離婚当時、まだ保育園に通う女の子の子持ちであり、収入と言えば週に三度、近所の花屋で販売のバイトをしていただけで、その額月に四万円ほど。旦那が浮気相手との蒸発したことで離婚したため、慰謝料も養育費の支払いもなかった。そんな「ないないづくしの自分」(舞さん)でも、熟女キャバで週に四度働けば、月に40万円も手にできた。

 ところが、である。熟女といえば諸説はあれ、大体は三十代前半から五十代までの女性を指すはずなのに、お店で人気があるのは、やはり三十代、もしくは二十代後半の女性たち。舞さんが40才を超えるころには収入は半減し、店に出ても「お茶を引く(客がゼロ)日が週に三日も」(舞さん)あったというのだから、このまま生活できるのか、と毎日不安で仕方がなかった。

 そんな時、キャバクラ店の店長が勧めてきたのは、別の系列店に移籍するか、思い切って性風俗店で働いてみないか、ということだった。

「稼がないと、という不安もあったから詳しく話を聞いてみると、系列店はなぜかふくよかな女性だらけの“デブ専”キャバクラ、性風俗店にいたっては“おばさんの不倫”がコンセプトのデリバリーヘルスで……」

 ここに来て初めて「自分の置かれている立場を知った」という舞さん。大学までは出たものの、特に「手に職を持つ」わけでもなく、何となく生きてきた。シングルマザーで40代を迎え、時間的にも、能力的にも制約のある自分には、もはや選べる仕事は残っていなかった。

「私、痩せてもいませんが、太ってもいませんでした。でも性風俗店には抵抗があり、デブ専キャバクラで働くことにしました。でも“客が女の子を馬鹿にする”ようなテンションの店だったこともあり、長くは続きませんでした」

 デブ専キャバでは、客が女性に向かって「この豚」などと言い放つようなこともあったが、女性はそれをにこやかに受け流していた。女性らしさで接客するのではなく、自分が馬鹿にされても笑っていなければならない、まるでピエロのようにさえ思えた。そして、舞さんはほどなく性風俗店へ移籍する。

関連キーワード

トピックス

上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン
ラオス語を学習される愛子さま(2025年11月10日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまご愛用の「レトロ可愛い」文房具が爆売れ》お誕生日で“やわらかピンク”ペンをお持ちに…「売り切れで買えない!」にメーカーが回答「出荷数は通常月の約10倍」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《10代少女らが被害に遭った“悪魔の館”写真公開》トランプ政権を悩ませる「エプスタイン事件」という亡霊と“黒い手帳”
NEWSポストセブン
「性的欲求を抑えられなかった」などと供述している団体職員・林信彦容疑者(53)
《保育園で女児に性的暴行疑い》〈(園児から)電話番号付きのチョコレートをもらった〉林信彦容疑者(53)が過去にしていた”ある発言”
NEWSポストセブン
『見えない死神』を上梓した東えりかさん(撮影:野崎慧嗣)
〈あなたの夫は、余命数週間〉原発不明がんで夫を亡くした書評家・東えりかさんが直面した「原因がわからない病」との闘い
NEWSポストセブン
テレ朝本社(共同通信社)
《テレビ朝日本社から転落》規制線とブルーシートで覆われた現場…テレ朝社員は「屋上には天気予報コーナーのスタッフらがいた時間帯だった」
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまのラオスご訪問に「感謝いたします」》皇后雅子さま、62歳に ”お気に入りカラー”ライトブルーのセットアップで天皇陛下とリンクコーデ
NEWSポストセブン
竹内結子さんと中村獅童
《竹内結子さんとの愛息が20歳に…》再婚の中村獅童が家族揃ってテレビに出演、明かしていた揺れる胸中 “子どもたちにゆくゆくは説明したい”との思い
NEWSポストセブン
日本初の女性総理である高市早苗首相(AFP=時事)
《初出馬では“ミニスカ禁止”》高市早苗首相、「女を武器にしている」「体を売っても選挙に出たいか」批判を受けてもこだわった“自分流の華やかファッション”
NEWSポストセブン
「一般企業のスカウトマン」もトライアウトを受ける選手たちに熱視線
《ソニー生命、プルデンシャル生命も》プロ野球トライアウト会場に駆けつけた「一般企業のスカウトマン」 “戦力外選手”に声をかける理由
週刊ポスト
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン