写真週刊誌のカメラマンも、以前体験した不可解な出来事を述懐する。
「大手事務所に所属するアイドルが、未成年でありながら西麻布のバーで飲んでいるところを撮影しました。その場にいたのは、アイドルが所属する人気グループのほかのメンバー、さらにはこちらも未成年だった当時人気のAV女優です。後にAV女優が、メンバーらに無理矢理に酒を飲まされた上に乱暴されたとして警察に被害届を出そうとしたのですが、事務所側がAV女優に金を握らせて黙らせたと聞きました。事件化されず、私が撮影した写真も”買い取られて”しまい、報じられていません。一方でメンバーらは”AV女優のくせに”とか”俺らと遊べてうれしかったくせに”などとうそぶいていたのです。まるで自分が王様にでもなったような振る舞うので、テレビ関係者などからは嫌われていますが、数字が取れるし、事務所との関係もあり今も第一線で活躍する”アイドル”ですが、AV女優は引退を余儀なくされ、消えました」
強大な権力と影響力によって守られた事務所やグループに所属するアイドルやタレントたちは、自らが何か不祥事を起こしても、黙っていても周囲が守ってくれるし、敵も排除してくれるため、いつまでたっても自身の愚かさ、反社会性に全く気が付かない。そして、無軌道ぶりをエスカレートさせていく。
ところ変わって、東京・渋谷にある若い芸能人御用達の会員制バー。若い女性を中心に人気の男性歌手が、ベロベロに酔っぱらい、未成年と思われる女性を連れてやってきた。バーの関係者によれば、所属するグループの男性歌手ら数人と、毎週のようにやってきては乱痴気騒ぎを繰り広げているのだとか。カーテンで仕切られたビップルームの奥から、件の男性歌手の大声が聞こえてくる。
「これからは俺の……うちの事務所の時代だよ!!テレビも雑誌も、俺ら無視しちゃやっていけなくなんだからよー!」
この男性歌手もまた、虚像に夢を見出した若者なのか。さらに”芸能”という世界の不条理の陰で泣き寝入りを強いられる被害者を非難する大衆もまた、その虚像に惑わされていることに全く気が付かない。このいびつな世界の異常性は、いつ白日の下に晒されることになるのか。「芸能界なんてそんなもんでしょ」などという、思考停止状態な人々が一人でも減ってほしいと思うばかりだ。