国内

今上天皇のお言葉の意味 親子二代で「人間宣言」を完成した

作家の佐藤優氏

 作家の佐藤優氏と思想史研究家の片山杜秀氏が「平成史」を語り合うシリーズ。国際情報誌SAPIO誌上で行われた対談は最終回を迎え、単行本『平成史』としてまとめられた。最後のテーマは、「今上天皇の足跡」となった。

 * * *
佐藤:興味深かったのはあのしんぶん赤旗が譲位や改元の議論に合わせて、元号を併記しはじめたこと。天皇や元号に対する意識という点では大きな変化です。

片山:私が変化を感じたのは、お言葉を巡る国民の反応です。日本の社会がすっかり変わったと思いました。昭和天皇の崩御を思い出してください。言論界には天皇制の強化を訴える声が上がる半面、天皇制と日本帝国主義の負の結びつきを強調する論調もあった。天皇制を廃止して共和制への移行を主張する人もいた。なかには、中華人民共和国の一人民になった愛新覚羅溥儀(注1)のように、天皇も一市民になればいいという意見さえあった。

【注1/愛新覚羅溥儀、1906~1967。清、満州国の皇帝。1911年に始まった辛亥革命(~1912年)で退位した清朝最後の皇帝。その後、日本軍のバックアップで1934年に満州国皇帝となる。日本の敗戦とともに満州国は崩壊し、旧ソ連軍によって抑留された。1946年には東京裁判に出廷。戦犯として中国の撫順戦犯管理所に収容されたが、のちに特赦で釈放されて北京に住んだ。】

佐藤:天皇に対しての国民の意識が変わってきているのは間違いありません。いま、国民は天皇を強くは意識していないんじゃないかな。しかし、それが天皇観の稀薄化を意味しているとは思えない。

関連記事

トピックス

中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
愛子さま、初の単独公務は『源氏物語』の特別展 「造詣が深く鋭い質問もありドキっとしました」と担当者も驚き
愛子さま、初の単独公務は『源氏物語』の特別展 「造詣が深く鋭い質問もありドキっとしました」と担当者も驚き
女性セブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
報道陣の問いかけには無言を貫いた水原被告(時事通信フォト)
《2021年に悪事が集中》水原一平「大谷翔平が大幅昇給したタイミングで“闇堕ち”」の新疑惑 エンゼルス入団当初から狙っていた「相棒のドル箱口座」
NEWSポストセブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン
稽古まわし姿で土俵に上がる宮城野親方(時事通信フォト)
尾車親方の“電撃退職”で“元横綱・白鵬”宮城野親方の早期復帰が浮上 稽古まわし姿で土俵に立ち続けるその心中は
週刊ポスト
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者
【新宿タワマン刺殺】ストーカー・和久井学容疑者は 25歳被害女性の「ライブ配信」を監視していたのか
週刊ポスト