『コンフィデンスマンJP』は、ダー子(長澤まさみ)ら信用詐欺師が、悪事で大儲けする各界の大物から金をだまし取る物語。脚本家を手掛ける古沢良太さんが、「1話1話が単独の話で、あまり前後の話に相関関係がないようにしたかった」と語っているように、各話に『○○編』と名づけ、放送順と時系列は必ずしも一致しないそうです。
連ドラとしての連続性を一切放棄しているほか、結末を読ませない二転三転の物語を際立たせるために、「主人公たちの名前や背景を一切描かない」のも特筆すべきポイント。「多少無理があっても気にしない」ぶっ飛んだ痛快劇は、古沢さん自身がたとえているように、アニメ『ルパン三世』を彷彿させるものがあります。
一方、『ヘッドハンター』は、弱小転職斡旋サーチ会社『SAGASU』の社長兼ヘッドハンター・黒澤和樹(江口洋介)がさまざまな人材にアプローチし、転職をめぐるてん末を描いた物語。北村有起哉さん、高嶋政伸さん、若村麻由美さんら名優が週替わりで各界の人材を演じていますが、演技力を引き出すような脚本・演出が目を引きます。通常の一話完結モノは、時間内に収めるためにテンポの良さを優先させますが、当作は中心人物が葛藤し、決断するまでの姿をじっくり描いているのです。
こちらも視聴者に結末を予想させない二転三転の物語。杓子定規に転職が成立するケースはなく、「まさかの不成立」などのどんでん返しも少なくありません。そのため視聴後の感覚も、切なさや苦さから、爽やかさや痛快まで、多彩な味わいがあるのです。
『コンフィデンスマンJP』が奇想天外な年齢不問のエンタメ作なら、『ヘッドハンター』は心を揺さぶる大人のヒューマン作。「各業界を渡り歩くスケールの大きさ」という共通点も含めて、新たな1話完結モノの扉を開いたと言えるのではないでしょうか。
◆ 型にはめる、はまらないタイプの共存へ