【湖池屋】
東京・板橋区に本社を置くスナック菓子メーカーの「湖池屋」は、小池和夫によって1953年に創業した。社名は創業者の名前に由来するが、「小池屋」ではないことにこそ小池の思いが込められている。
「創業者の小池和夫の出身地である長野県には、諏訪湖という大きな湖があります。会社設立にあたり、諏訪湖のように会社を大きく成長させたいとの願いを込め、小池の『小』を『湖』に変えて湖池屋としました」(マーケティング部広報課・落合しおり氏)
「湖池屋ポテトチップス」のほか、「カラムーチョ」「ポリンキー」などが同社の主力商品だが、意外にも創業当初は「お好み揚げ」などのおつまみ菓子を製造・販売していた。
「当時は、ポテトチップスは一般的なスナック菓子ではなく、手作りが主流の珍しいものでした。創業者である小池和夫が仕事仲間と飲みに行った際、初めて口にしたポテトチップスに小池は『こんなおいしいものが世の中にあったのか』と感動したことからポテトチップスの開発に着手し、試行錯誤の後、1962年8月に『湖池屋ポテトチップス のり塩』を発売しました」(落合氏)
発売開始当時、製造はすべて手作業だった。大鍋を創業者自ら手で操ってスライスしたじゃがいもを揚げていたという。その後、1967年には専用のオートフライヤーの導入などにより日本で初めてポテトチップスの量産化に成功。日本におけるポテトチップスの大衆化に貢献している。
取材/浅井英彦(HEW)
※週刊ポスト2018年6月8日号