ライフ

夏に嬉しいそうめんのルーツはお菓子、古いほど高級

鹿児島県指宿市の唐船峡は回転式そうめん流し発祥の地(写真/指宿市観光協会)

 ツルツルと喉ごしのいい「そうめん」は夏の定番メニューだが、そもそもいつから食卓に上るようになったのか。そうめん研究家のソーメン二郎氏が解説する。

「そうめんのルーツは、1200年前に中国から奈良に持ち込まれたお菓子“索餅”だとされています。長らく天皇家への献上品として作られる高級品でしたが、江戸時代に奈良の三輪から兵庫、小豆島へと製造法が伝わり、各地で作られるようになりました。庶民に広まったのもこの頃で、今でも昔ながらの製法で作るそうめんは “手延べ”と表記しています」

 基本的に手延べそうめんは、小麦粉、塩、水を混ぜてこねた生地に、植物性油を加えて糸のようにのばして作られる。だが、地方の特性に応じて素材や配合を変えながら、独自の進化を遂げていった。

「小豆島の『島の光』は地元特産の胡麻油を使って麺をのばしますが、宮城の『白石温麺』は油を使いません。そうめんなのに温麺と書くのは、親想いの温かい心から生まれたから。400年前、胃が悪い父親を心配した息子が、食べやすいようにと油を使わない麺を作ったのが始まりといわれています」

 熟成期間によって味の違いが生まれるのもそうめんの特徴だ。熟成させるとコシが強くなり、古いほど高級とされる。

「1年以上寝かせた“古物”や2年物の“大古物”を好む人もいます。一般的には、麺の直径1.3ミリ以下が“そうめん”、それ以上は“ひやむぎ”ですが、麺の細さによって食感が変わる。たとえば同じ『三輪そうめん』でも、細さや原材料の違いによって等級が決まり、好みが分かれるんです。いろいろ食べ比べて、好みの味を見つけるといいですよ」

 そうめん発祥の地、奈良の名店を紹介しよう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
《長野立てこもり4人殺害事件初公判》「部屋に盗聴器が仕掛けられ、いつでも悪口が聞こえてくる……」被告が語っていた事件前の“妄想”と父親の“悔恨”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン