リニューアルに際して、大谷石でつくられたギャラリースペース”武蔵常盤小径”では、古写真などをパネル展示している


 ときわ台しゃれ街協議会が景観維持・街並み保存で重視しているのは”緑”で、緑豊かな常盤台を目指すために「家の敷地内に、最低でも一本の高木を植えることをお願いしている」(中島理事長)と言う。

 しかし、塀や石垣の設置は維持・管理に莫大な費用や手間がかかる。また、最近では石屋が少なくなっていることもあり、発注から施工まで待たされる。そうした事情も勘案し、協議会のガイドラインは塀や石垣にまで言及していない。

「新たに建てられた住宅では、石垣や外壁、塀に大谷石が用いられることは珍しくなりました。住民の世代交代による意識の変化もありますが、相続や固定資産税が大きく起因しています。大谷石どころか、コンクリート造の塀や生垣を設ける家も減っているのです」(中島理事長)

 常盤台のみならず、かつて高級住宅街と呼ばれていたエリアから邸宅は次々と消えた。最近の富裕層の住まいは都心部のタワーマンション。それが、ステイタスになりつつある。

 鉄道会社もそうした潮流に乗って、沿線開発ではタワマンを続々と建てている。しかし、かつての高級住宅地が放つ高級感とタワマンとでは、その差は歴然としている。

 各沿線の高級住宅地が衰退する中、東武と常盤台のアイデンティティでもある大谷石が駅舎や駅前広場に用いられて多くの人の目に触れることは、高級住宅地・常盤台が復権する第一歩になるかもしれない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン