国内

日大「悪質タックル問題」 ピリオドを打つ方法はあるのか

大前氏が日大アメフト問題を語る

 アメフト部の悪質タックル問題をきっかけに、日本大学全体のガバナンスに注目が集まっている。理事長はなぜ「独裁体制」を構築することができたのか、問題にピリオドを打つことはできるのか、経営コンサルタントの大前研一氏が考察する。

 * * *
 日本大学アメリカンフットボール部の「悪質タックル事件」で、関東学生アメリカンフットボール連盟は日大の内田正人前監督と井上奨前コーチを事実上の永久追放に相当する「除名」処分にした。

 だが、これで幕引きというわけにはいかないだろう。日大アメフト部は内田前監督が強権支配していたとされるが、それを生んだ背景には日大のガバナンス(統治)問題がある。内田前監督は人事担当の常務理事(5月30日付で辞任)に加え、大学職員としても人事部長と運動部を統括する保健体育審議会の事務局長を務める実質的なナンバー2だったから、誰も逆らえなかったのである。その後ろ盾が“日大のドン”と呼ばれる田中英壽理事長だ。

 報道や日大のホームページによると、田中氏は日大相撲部出身で、1967年に学生横綱となり、1969年に卒業して日大に就職。アマチュア横綱にも3回なって1999年に理事、2002年に常務理事、2008年に理事長に就任した。そして田中氏は総長を廃して理事長に権限を移す組織改革を行ない、自身が運営権を握った。総長だった大塚吉兵衛氏は学長に“格下げ”されて教育面だけを担当することになった。いわば大塚学長は田中理事長の傀儡であり、この「田中独裁体制」にメスを入れて膿を出し切らない限り、今回の事件の根本的な問題は解決しないと思う。

 学長の上に理事長がいるという構造は日大特有の仕掛けだが、実はそれだけで田中理事長に権力が集中しているわけではない。その背景には、文部科学省が推し進めた大学のガバナンス改革がある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン