正確な現状把握と適切な善後策を練るためにも、情報が必要であることは言うまでもない。しかし、利用者がどんな状況に置かれているのかは千差万別。「自宅の最寄駅にいるのか? それとも会社や学校の最寄駅にいるのか?」「出勤途中だったのか? それとも帰宅途中だったのか?」「一人で出かけているのか? 家族と一緒にいるのか?」
そうした個々の事情・状況が異なれば、対応策も当然ながら個々に変わってくる。緊急事態下では情報の正誤を判断する余裕はなく、大量の情報が溢れることで有益な情報が隠れてしまうというデメリットも生じる。函館市電では不要になったツイートを削除することで、利用者や市民を混乱させないことを心掛けているのだ。
しかし、鉄道事業者のツイッターでは運行情報のほかにも、沿線のイベント開催告知も発信している。また、イベントの事後報告などしている。イベントの開催告知はイベント終了後に削除しても問題ないだろうが、イベントレポートのような事後報告を楽しみにしている沿線民やファンもいる。そうしたファンサービス的な情報提供は、どのようにしているのだろうか?
「函館市電では、ツイッターのほかにフェイスブックも活用しています。イベントレポートなど、速報性を必要としない情報についてはフェイスブックでお知らせしています。ツイッターとは異なり、フェイスブックの情報は事後でも削除しない方針です。それなので、フェイスブックをご覧いただければと思います」(同)
SNSの登場で情報は手軽かつ素早く入手できるようになった。函館市電のツイッター運用方針は、鉄道事業者の情報発信のあり方を考えさせる一例と言えるだろう。