「この話は極めて簡単で、(総理の名前は)書いてなかったんですよ。だろ?」
朝日記者が小さくなって「はい」と答えると、
「朝日は『書いてある』『書いてある』って煽った口だろ、あんたのとこは」
記者が黙り込むと、凄味を利かせてこう畳み込んだ。
「そうだったじゃねーか。素直に言えや」
この映像が報じられるとネットには「朝日新聞は謝罪せよ」という書き込みがあふれた。安倍首相も「鬼の首」を取ったように国会で“誤報”だと攻め立てた。
「裏取りをしない記事は、記事とはいえない。そういうかたちで疑惑は広がっていく」
朝日が検証記事で釈明すると、首相は、「哀れですね。朝日らしい惨めな言い訳」とのコメントをフェイスブックに書き込んだのだ。
しかし、どんでん返しが待っていた。文書改竄問題で財務省が公表した近畿財務局の森友関連文書の中に、〈安倍晋三記念小学校〉という記載があることが判明し、首相の名前が付いた校名を知った役所側が価格交渉で忖度した形跡が浮かびあがったのである。
だが、麻生氏も安倍首相も知らん顔を決め込み、国民にはいまなお“朝日の誤報”という印象だけが強く残っている。