親友の身を心配した毒蝮の助言もあり、砂川さんは2015年5月にラジオの生放送で妻の病状をカミングアウト。少し肩の荷が軽くなったはずだったが2016年4月、今度は砂川さんが尿管がんの宣告を受けた。
「砂川さんは放射線治療や抗がん剤治療を行いながら、十数回も入退院を繰り返してがんと闘いました。“このままでは共倒れになる”と危惧して大山さんを老人ホームに入れましたが、闘病中も気にするのは妻のことばかり。常に“ペコはひとりでやっていけるだろうか”と心配していました」(前出・スポーツ紙記者)
◆マネジャーへのお世話代
その時期、砂川さんと二人三脚で大山の介護を受け持ったのがAさんだった。
「Aさんはもともと大山さんのマネジャーを30年以上担当していて、砂川さんからの信頼も厚かった。彼たっての希望でAさんは大山さんの介護を手伝うようになり、彼女の暮らす老人ホームにも足繁く通っています。砂川さんのがんが見つかってからは彼の入院にも付き添うことが多く、“ペコをくれぐれも頼む”と言われていたそうです」(芸能関係者)
がんという大病を患った自分に、もしものことがあったら認知症が進む妻の余生はどうなるのか。思い悩んだ砂川さんは、「2つの手」を打った。
「砂川さんは口では“決してペコより先に死なない”と言っていましたが、本心では最悪の事態を想定していました。夫婦には子供がいなかったので、砂川さんがいなくなったら誰かが天涯孤独の大山さんの面倒を見て、財産を管理する必要がある。そこで砂川さんは、Aさんにお世話代として毎月一定額のお金を渡して、大山さんの面倒を見るようにお願いしたようです。
また、夫婦の財産管理は、『成年後見制度』を利用することにしたそうです。砂川さんのきょうだいが成年後見人になったという話を聞いたことがあります」(前出・芸能関係者)
成年後見制度とは、国が法的権限を持つ「成年後見人」などを指定する制度のこと。九段下総合法律事務所の伊倉秀知弁護士が説明する。
「認知症などで充分な判断能力を持たない人の財産を管理するための制度です。家庭裁判所が選任する成年後見人による財産管理には強い法的権限が与えられ、たとえば認知症のかたが家を売ってしまったとしても、後見人はその契約を取り消すことができます。親族でも勝手に被後見人の財産を処分することはできなくなります。以前は親族が成年後見人になることが多かったのですが、最近は弁護士や司法書士など専門職がなるケースが多い。その理由の1つは親族後見人が“いずれ自分が相続するお金だから”と使いこむケースが増えたから。その場合、財産の価値によって支払う費用が変わってきます」
砂川さん亡きあと、大山には多くの資産が残された。