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2018.07.22 07:00  週刊ポスト

【著者に訊け】小森健太朗氏 『中相撲殺人事件』

「ミステリの出来と探偵の魅力が両立するに越したことはないのですが、私自身はキャラクターを楽しむことを第一義とする読み方とは違い、ミステリとしてより優先されるべきは謎解きそのものを味読できることにあると思ってます。

 前作が今頃になってウケたように、キャラクターというのは勝手に育つところがあるし、謎の構築と違い、計算で作れるものではない。昨今では泣ける話を売りにするミステリも増えつつありますが、キャラクターやドラマ性を抜きにしても、なお発見があり知的好奇心をゆすぶられるミステリを、私は面白いと思うんです」

◆ミステリの論理性構築は理系的発想

 近大の創作評論ゼミでは、クイーン等の犯人当て短編の前半だけを読ませ、解決編を書かせるなど、熟読の訓練を重視しているとか。

「推理小説ファンの間でも、解決編の前で立ち止まって自力で推理する人は少数。現実には最後まで漫然と読む人が大半なんですよね。

 その点、うちのゼミでは何度も読みこんで手がかりを正確に拾わないと結末が書けないし、通常の読書と違って正解があるので読みの程度も客観的に測れる。中にはこちらの想定にない迷推理を書く学生もいて、そうか、こんな見方もありえるのかと、作家としては実に参考になります(笑い)。

 私自身は文学的興味から中学生で小説を書き始め、一方で内外のミステリを体系的に網羅したいという野望もあった。今は実作と評論を両方やっていますが、『探偵小説の論理学』にも書いた論理性の構築というのはわりと理系的な発想です。私は文学部出身ですが、理系的な発想をもつ作風だと理科系出身の知り合いからいわれたりします」

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