「ミステリの出来と探偵の魅力が両立するに越したことはないのですが、私自身はキャラクターを楽しむことを第一義とする読み方とは違い、ミステリとしてより優先されるべきは謎解きそのものを味読できることにあると思ってます。

 前作が今頃になってウケたように、キャラクターというのは勝手に育つところがあるし、謎の構築と違い、計算で作れるものではない。昨今では泣ける話を売りにするミステリも増えつつありますが、キャラクターやドラマ性を抜きにしても、なお発見があり知的好奇心をゆすぶられるミステリを、私は面白いと思うんです」

◆ミステリの論理性構築は理系的発想

 近大の創作評論ゼミでは、クイーン等の犯人当て短編の前半だけを読ませ、解決編を書かせるなど、熟読の訓練を重視しているとか。

「推理小説ファンの間でも、解決編の前で立ち止まって自力で推理する人は少数。現実には最後まで漫然と読む人が大半なんですよね。

 その点、うちのゼミでは何度も読みこんで手がかりを正確に拾わないと結末が書けないし、通常の読書と違って正解があるので読みの程度も客観的に測れる。中にはこちらの想定にない迷推理を書く学生もいて、そうか、こんな見方もありえるのかと、作家としては実に参考になります(笑い)。

 私自身は文学的興味から中学生で小説を書き始め、一方で内外のミステリを体系的に網羅したいという野望もあった。今は実作と評論を両方やっていますが、『探偵小説の論理学』にも書いた論理性の構築というのはわりと理系的な発想です。私は文学部出身ですが、理系的な発想をもつ作風だと理科系出身の知り合いからいわれたりします」

関連記事

トピックス

大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ハワイ別荘・泥沼訴訟を深堀り》大谷翔平が真美子さんと娘をめぐって“許せなかった一線”…原告の日本人女性は「(大谷サイドが)不法に妨害した」と主張
NEWSポストセブン
世界的な人気を誇るシンガー・d4vd(20)(Instagramより)
「行方不明の10代少女のバラバラ遺体が袋詰めに」世界的人気歌手・d4vdが所有する高級車のトランクに遺棄《お揃いのタトゥー「 Shhh…」で発覚した2人の共通点》
NEWSポストセブン
須藤被告(左)と野崎さん(右)
《紀州のドン・ファンの遺言書》元妻が「約6億5000万円ゲット」の可能性…「ゴム手袋をつけて初夜」法廷で主張されていた野崎さんとの“異様な関係性”
NEWSポストセブン
神田正輝の卒業までに中丸の復帰は間に合うのか(右・Instagramより)
《神田正輝の番組卒業から1年》中丸雄一、『旅サラダ』降板発表前に見せた“不義理”に現場スタッフがおぼえた違和感
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)の“過激バスツアー”に批判殺到 大学フェミニスト協会は「企画に参加し、支持する全員に反対」
NEWSポストセブン
ラーメン店の厨房は暑い(イメージ)
《「汗を落とすな」「清潔感がない」》猛暑で増えた「汗クレーム」 熱湯で麺を茹で上げるラーメン店やエアコンが使えないエアコン取り付け工事にも
NEWSポストセブン
主人公・のぶ(今井美桜)の幼馴染・小川うさ子役を演じた志田彩良(写真提供/NHK)
【『あんぱん』秘話インタビュー】のぶの親友うさ子を演じた志田彩良が明かすヒロインオーディション「落ちた悔しさから泣いたのは初めて」
週刊ポスト
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《いまだ続く広陵野球部の暴力問題》加害生徒が被害生徒の保護者を名誉毀損で訴えた背景 同校は「対岸の火事」のような反応
週刊ポスト
どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン