ビジネス

コンビニやスーパーで低価格の「PBビール」が増えている理由

ビールメーカーと流通大手のタッグが進む

 東京都内の、あるセブン‐イレブン。ビール類の冷蔵棚を覗くとビールメーカーのナショナルブランド(以下NB)である「スーパードライ」や「一番搾り」、「黒ラベル」や「ザ・プレミアムモルツ」などの主力商品に交じって、セブン&アイグループのプライベートブランド(以下PB)、セブンプレミアムの「ザ・ブリュー」が、ノーマル缶、アルコール度数7%のストロング缶、糖質70%オフ缶の3種類が収まっていた。

 そして6缶パックのパッケージには“累計5億本突破!”の文字。この第3のビールは、天然水を使用したサントリービールとの共同開発商品だ。ゆえに、サントリービールのホームページでも、しっかりと「ザ・ブリュー、累計5億本突破」と紹介されている。

 セブン&アイがグループ横断のPB、セブンプレミアムをスタートさせたのは2007年5月のこと。その2年後の2009年7月、サントリーと「ザ・ブリュー」を出したのだが、同じ時期、セブン&アイのライバルであるイオンも、やはりサントリーと組んで第3のビール「麦の薫り」を投入。ところがサントリーとイオンの間に齟齬があり、「麦の薫り」は生産見合わせとなって、需要期の夏場に欠品という事態が生じてしまった。

 低価格商品には従来から注力してきたイオンは、PBの「トップバリュー」を1994年からスタートし、2000年に「トップバリュ」と改めた。そのイオンがPBを始めた1994年は、ビール業界にとって大きなターニングポイントになった年でもある。

 以前、サッポロホールディングスの尾賀真城社長はこう語っていた。

「94年はビールの総需要がピークだった年で、それ以降ずっと下がっていくことになります。酒税が上がった年でもあるので値上げをしなければいけなかったのですが、ダイエーさんが逆に値下げをされ、そこから価格競争がものすごく激しくなりました。地ビールが解禁になった年でもありましたし、いろいろな意味で大きな転換点だったのです」

 この1994年、サントリーが業界初となる発泡酒の「ホップス」を出しているのだが、それと同等かそれ以上のインパクトが前年の1993年に起こっていた。

 当時、バブル崩壊後の節約志向の機運が高まる中、PBの「セービング」シリーズで攻勢をかけていたダイエーが、128円という破格の価格で輸入ビールの「バーゲンブロー」(ベルギー産/330ml缶)を投入したのだ。以降、ビールメーカーは低価格の発泡酒市場に相次いで参入、さらにその後、発泡酒より安い第3のビールにも横並びで参入していった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

石原さとみ(プロフィール写真)
《ベビーカーを押す幸せシーンも》石原さとみのエリート夫が“1200億円MBO”ビジネス…外資系金融で上位1%に上り詰めた“華麗なる経歴”「年収は億超えか」
NEWSポストセブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
高羽悟さんが向き合った「殺された妻の血痕の拭き取り」とは
「なんで自分が…」名古屋主婦殺人事件の遺族が「殺された妻の血痕」を拭き取り続けた年末年始の4日間…警察から「清掃業者も紹介してもらえず」の事情
(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
熱を帯びる「愛子天皇待望論」、オンライン署名は24才のお誕生日を節目に急増 過去に「愛子天皇は否定していない」と発言している高市早苗首相はどう動くのか 
女性セブン
「台湾有事」よりも先に「尖閣有事」が起きる可能性も(習近平氏/時事通信フォト)
《台湾有事より切迫》日中緊迫のなかで見逃せない「尖閣諸島」情勢 中国が台湾への軍事侵攻を考えるのであれば、「まず尖閣、そして南西諸島を制圧」の事態も視野
週刊ポスト
盟友・市川猿之助(左)へ三谷幸喜氏からのエールか(時事通信フォト)
三谷幸喜氏から盟友・市川猿之助へのエールか 新作「三谷かぶき」の最後に猿之助が好きな曲『POP STAR』で出演者が踊った意味を深読みする
週刊ポスト
ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
今年6月に行われたソウル中心部でのデモの様子(共同通信社)
《韓国・過激なプラカードで反中》「習近平アウト」「中国共産党を拒否せよ!」20〜30代の「愛国青年」が集結する“China Out!デモ”の実態
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《自宅でしっぽりオフシーズン》大谷翔平と真美子さんが愛する“ケータリング寿司” 世界的シェフに見出す理想の夫婦像
NEWSポストセブン
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(時事通信フォト)
《潤滑ジェルや避妊具が押収されて…》バリ島で現地警察に拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26) 撮影スタジオでは19歳の若者らも一緒だった
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
NEWSポストセブン