ビジネス

ジーユー 廉価版ユニクロから脱するも成長にブレーキの要因

トレンド商品も多く扱うジーユーだが……

 低価格カジュアル衣料ブランドの人気に陰りが見え始めている。これまで右肩上がりの売り上げを誇ってきた「ジーユー(GU)」も2期連続の減益を見込むなど、ここにきて苦戦を強いられているが、その要因とは何か。ファッションジャーナリストの南充浩氏が分析する。

 * * *
 並みいる低価格カジュアルブランドの中で、この10年間でもっとも売り上げ規模を拡大したのは「ユニクロ」とともにファーストリテイリングが展開する「ジーユー」でしょう。

 2006年にスタートしたジーユーは2018年8月期の売上高が2000億円を越える見通しとなっています。12年間で売上高2000億円を突破することはすごいと言わねばなりませんが、それよりもすごいのは、2010年の方向転換によって一気に8年間で1500億円以上も売上高を伸ばしたことです。

 しかし、ジーユーの立ち上がりから3年間は鳴かず飛ばずの状態が続いていました。もし、ファーストリテイリングという後ろ盾がなければ、ブランドが存続できたかどうかも怪しいところです。そういう意味では超大手企業に属していたことはジーユーの幸運さといえるでしょう。

 なぜジーユーが立ち上がりから2010年まで鳴かず飛ばずの状態が続いていたのか。その最大の要因は当初のコンセプトが“廉価版ユニクロ”だったからです。

 ユニクロの商品は安いですが、もっと安い物が欲しいという声もありましたから、理論上需要はありました。しかし、実際にスタートしてみると、思ったほど売上高は伸びませんでした。理由はさまざま考えられます。

 1つには廉価版にすることで素材や縫製のクオリティが下がったことです。当たり前ですが低価格にするためには製造コストを下げる必要がありますから、素材や縫製のクオリティが下がります。しかし、同じデザインのユニクロの商品はジーユーのそれよりもはるかに素材や縫製のクオリティが高いのです。

 しかも廉価版と言ったところで、価格差は平均して1000~1500円くらいしかないのです。これくらいの価格差ならわざわざ粗悪な廉価版を買う必要はありません。おまけにユニクロは金曜から翌週月曜までの4日間で期間限定値下げをします。その際に1000~1500円は値下げされるので、どうしてもジーユーの価格で物を買いたい人は、そのときにユニクロで買えば同価格で高品質の商品が買えてしまうのです。同じデザインで同じ価格で高品質なら誰でもそちらを買います。

関連キーワード

関連記事

トピックス

事件に巻き込まれた竹内朋香さん(27)の夫が取材に思いを明かした
【独自】「死んだら終わりなんだよ!」「妻が殺される理由なんてない」“両手ナイフ男”に襲われたガールズバー店長・竹内朋香さんの夫が怒りの告白「容疑者と飲んだこともあるよ」
NEWSポストセブン
4月は甲斐拓也(左)を評価していた阿部慎之助監督だが…
《巨人・阿部監督を悩ませる正捕手問題》15億円で獲得した甲斐拓也の出番減少、投手陣は相次いで他の捕手への絶賛 達川光男氏は「甲斐は繊細なんですよね」と現状分析
週刊ポスト
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト