くらもちさん自身、『ガラスの仮面』の著者・美内すずえさんのアシスタントとなって2年ほど修業し、プロの現場の厳しさを学んだ。
「今でも、美内先生にお会いするたび、“あの時はすいませんでした”なんて、謝って…。美内先生は笑ってくださるんですけど、自分の未熟さを教えていただきました」
師弟関係もさることながら、ドラマでの“リアル”は、漫画が描けなくなることだと続ける。
「私にも、鈴愛のような“冬の時代”がありました。あれは、デビューから6年目のこと。最初で最後の“落とす”という経験をしました。あの時の状態は、鈴愛と全く同じ。話が作れなくなり、歩いているようで立ち止まったままという状態。編集長がやってきて、“落としましょう”と、直接言われた時は本当にショックでした。結局、作品は最後まで描き上げたのですが、いまだに読み返せていません。昨年、原画展を開催したのですが、見覚えがないカラー原稿が出てきて…。それがまさに落とした作品。そのくらい、漫画家にとってスランプはつらい経験なんです」
※女性セブン2018年8月9日号