実のところ、タワーマンションは災害に弱い。地震や水害などで電力供給が途絶えれば、そこで生活を営むことはほぼ不可能になる。エレベーターや水道が使えなくなるからだ。
仮に武蔵小杉のタワーマンションエリアで電力供給が途絶えれば、これだけの住民を収容しきれる避難施設はあるのだろうか。周辺の小学校では生徒が急に増え過ぎた結果、プレハブ校舎で授業を行っているところあるという。また、新たな小学校も建設予定だとか。不安材料は増えるばかりだ。
不動産市場的に見ても、危うさが浮かび上がる。これらのタワーマンションには空室が多い。新しく竣工したタワーマンションも、完成直後から大量の売出し物件が流通市場に出ている。値上がり期待で購入した人が多いのだろう。
新築タワーマンションの売出し価格は、東京都内の湾岸エリアとほとんど同レベル。近くて便利、とはいっても都心への絶対距離は都内湾岸よりも遠い。
埋立地である湾岸エリアにタワーマンションが大量に作られているのは、それこそ必要悪である。そこには元からの住民がいないわけであるから、日照の阻害なども発生しない。また、埋立地の風景やタワーマンションでの生活を好む方が購入して住むわけであるから、ビル風の問題も話題にならないだろう。公園はたくさんある。
しかし、武蔵小杉はここ十数年でにわかにタワーマンション銀座に生まれ変わった。近くて便利、ということで売れ行きも好調だった。一種のブームでもあった。
ただ、人気と話題が先行して好調に分譲されてきた武蔵小杉のタワーマンションも、今後は新たな評価を受けることになるのかもしれない。