注目すべきはその力の入れ具合だ。カンニング竹山、山崎弘也、田中卓志、鈴木拓、小峠英二、春日俊彰といった盟友を自らキャスティング。自身が熱望した身体を酷使した笑いを作り出す。番組内容をざっと説明しよう。有吉弘行御一行が様々なミッションに立ち向かう。全てクリアをすれば、Amazonプライム・ビデオで好きな番組を作る権利を得る。失敗すれば、有吉弘行は丸坊主に。ちなみに番組タイトルは『有吉弘行の脱ぬるま湯大作戦』だ。
この番組は全てのスケールが大きい。
ミッションのセクションごとに1枚ずつ、ゴールまでに4枚の地図を手渡され、オリエンテーリングのように進行していく。場所を移動しながらミッションに挑戦。セグウェイを使ったり、山中を歩いたりと移動距離も長く、絵面は川口浩探検隊のごとく。大きな土地を借り切って撮影されたことが分かる。その広さは『SASUKE』が行われる緑山スタジオの比じゃない。田舎町1つを貸し切って撮影をしているイメージだ。
ポイント毎に襲ってくるのが、テレビでは見ることがなくなったバラエティ的な仕掛けの数々。
エピソード1の冒頭、タキシードできめた有吉御一行はレッドカーペットの引かれた豪華な会場へと案内される。かつてないスケールのセットに売れっ子出演者も「すげー」とテンションが上がる。ゲストルームに案内され、出されるのは豪華なオードブルとロゼワイン。そこでスタッフが「テープ交換しまーす」と部屋から脱出。
何か起こるな……、と顔を強張らせる御一行。次の瞬間、天窓が開き大量のローションが撒かれる。続いて襲ってきたのが大きな揺れ。身体がヌメヌメなので摩擦が少ない、部屋の揺れに合わせて右往左往に振られる面々。
ゲストルーム自体をクレーン車で釣り上げ、部屋ごと揺らす仕掛け。揺れは相当なものだっただろう。その後も巨大すべり台、特撮番組でも最近では見られないほどの大規模で回数が多い爆破、のんびりサイクリングと思ったら流鏑馬で狙われたり、山中を模索していると全裸の男に襲われたりてんやわんや。一事が万事、このテンションでことが運ぶ。番組名通りの”脱ぬるま湯”な波状攻撃に、画面を見るこちらは笑うしかない。一般社会とはかけ離れた芸人の身体を酷使した笑いにはダイナミズムがある。