ライフ

地震で親を亡くした男性「2階にトイレ作っておけば」と後悔

熊本地震で倒壊した家屋(時事通信フォト)

 中国・四国地方を中心に深刻な被害をもたらした西日本豪雨では、自宅から逃げ遅れた人の多くが独居の高齢者だった。実際、200人以上の死者のうち60歳以上の高齢者が7割を占めた。そうしたなかでは、自らの身を守ることはもちろん、「離れて暮らす家族」が被災者となった場合のことも考えておく必要がある。“その時”のための備えを専門家や過去の大規模災害で被災した当事者たちに聞いた。

 大雨による洪水や土砂災害、地震による津波のリスクが懸念される地域では、迅速な避難が何より大切になるが、災害アドバイザーの高荷智也氏によれば、「水害に遭った時、河川が氾濫してすでに自宅周辺の冠水などが始まっているような状況ならば、無理に避難所に向かおうとするよりも、自宅の2階以上に避難したほうが安全な場合も多い」という。

 実際、西日本豪雨で深刻な被害を受けた倉敷市真備町地区では、死者の8割が住宅の1階やアパートの1階部分で亡くなっていた。

「とりわけ足腰が不自由な高齢者の場合、迅速に2階や平家の屋根に上がる“垂直避難”が困難になる。そのことを改めて実感させられた」(防災担当記者)

 そこで選択肢になるのが「寝室を2階にしておく」という考え方だ。これには、地震で自宅が倒壊した際のリスクを軽減する意味もある。阪神・淡路大震災で両親を亡くした72歳の男性が振り返る。

「実家の2階にトイレを作っておけばよかったと、今でも悔やんでいます。当時、六甲山から流れる急河川の氾濫に備えて“寝室を2階にするように”と市から指導があったのですが、両親は“トイレが1階にあるから、夜中に何度も階段を上り下りしたくない”といって1階で寝起きする生活を続けていた。そんななか、早朝にあの震災があって、2人とも1階で圧死でした」

 この男性は「お金をかけてでもリフォームしておくべきだった」と何度も繰り返していた。

※週刊ポスト2018年9月7日号

関連記事

トピックス

デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
維新に新たな公金還流疑惑(左から吉村洋文・代表、藤田文武・共同代表/時事通信フォト)
【スクープ!新たな公金還流疑惑】藤田文武・共同代表ほか「維新の会」議員が党広報局長の“身内のデザイン会社”に約948万円を支出、うち約310万円が公金 党本部は「還流にはあたらない」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《ほっそりスタイルに》“ラブホ通い詰め”報道の前橋・小川晶市長のSNSに“異変”…支援団体幹部は「俺はこれから逆襲すべきだと思ってる」
NEWSポストセブン
東京・国立駅
《積水10億円解体マンションがついに更地に》現場責任者が“涙ながらの謝罪行脚” 解体の裏側と住民たちの本音「いつできるんだろうね」と楽しみにしていたくらい
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン
兵庫県知事選挙が告示され、第一声を上げる政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏。2024年10月31日(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志容疑者、14年前”無名”の取材者として会見に姿を見せていた「変わった人が来るらしい」と噂に マイクを持って語ったこと
NEWSポストセブン