スパイ養成施設で英才教育を受け、亡き両親もスパイだった自称〈エリート中のエリート〉は、着任早々、〈イエス・キリスト〉なる来訪者が目の前で刺され、その遺体を埋めに行く羽目に。また隣家の〈マダム・ステルス〉は本業が泥棒らしく、銀行を地下から襲うモグラ似の機械を開発し、燃料となる変幻自在の化学物質〈ラ・パローマ〉も工場から盗み出すなど、スパイの方がまともなくらいだった。

 失業率は80%に上り、密造酒〈フライングスノーマン〉による中毒も蔓延する街では、市長の〈ミッキー・チャン〉が独立政策を掲げ、これを阻むのが今回の任務。が、組織との連絡役〈チェロキー〉から銃を調達し、中古で買った車〈一九五五年式のキャレキシコ〉で街をゆく彼は密造酒のアジトをたまたま暴いてしまう。

 祝賀会で市長とジェイムズ・ブラウンばりのファンキーなダンスを披露した彼の記事は一面を飾り、しかも取材記者〈ミス・モジュール〉の早合点でゲイ疑惑が浮上、セレブなゲイとしてなぜかますます有名に。一方、音楽好きで料理上手な市長は殺すのが惜しくなる好人物。本人の思惑とは裏腹な状況に追い込まれていく老スパイの、命運やさていかに?

◆まじめに書くと悲しくなってくる

 大学卒業後は福島の実家に戻り、8年ほど前にふと思い立って小説を書き始めたという一條氏。以来ジャンルを問わず投稿を重ね、新潮ミステリー大賞受賞作『レプリカたちの夜』ではそのミステリーの枠を超えた独特の世界観を絶賛された。大の音楽好きでもあり、巻末には夥しい数の参考文献の他、映画や音楽、ラジオに至るまで、影響を受けた作品名が律義に並ぶ。

関連記事

トピックス

真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
優勝11回を果たした曙太郎さん(時事通信フォト)
故・曙太郎さん 史上初の外国出身横綱が角界を去った真相 「結婚で生じた後援会との亀裂」と「“高砂”襲名案への猛反対」
週刊ポスト
伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン