国内

「日出ずる処…」隋の皇帝激怒の国書で日本は独立自尊を宣言

隋の皇帝・煬帝(中央) Bridgeman Images/AFLO

 日本が西洋列強に植民地化されずにすんだのは、明治維新によって近代化が図られたからとの指摘は多い。だが、歴史を俯瞰すれば、その分岐点ははるか昔、推古朝まで遡る。神道学者の高森明勅氏が解説する。

 * * *
 日本史上、最大の転機はいつか。「天皇」登場の場面だろう。わが国にいまだ「天皇」が存在しない段階と、はっきり「天皇」が出現して以降の段階。日本の歴史は、大きくつかめばこの二つに分けて考えることができる。では「天皇」はいつ、どういう理由で出現したのか。その歴史の真実に迫るためには、はるか古代の七世紀にまでさかのぼらなければならない。

 当時、わが国の外交姿勢はどうだったか。朝鮮半島の百済や新羅とは外交関係を保っていた。両国との関係については、シナの歴史書『隋書』倭国伝にこうある。「新羅・百済では、倭国を大国で珍しい物が多い国と考えて、両国とも倭国を畏(かしこ)みうやまい、常に使節を往き来させている」と。わが国の方が上位に立って外交を結んでいた様子がうかがえる。

 一方、シナ大陸の王朝との関係はどうだったか。大陸では王朝が南朝と北朝に分裂した状態が続いていた。そこでわが国は、すでに百年以上も正式な交渉を持っていなかった。ところが事態は一変する。六世紀末に隋が大陸を統一したのだ。

 半島の高句麗・百済・新羅の三国は早々と隋から「冊封」を受けていた。冊封とは、前近代、シナ皇帝が周辺国の君主に冊書(辞令)を与えて、「皇帝」より下位の地位である「王」などに封じる(任命する)こと。これによってシナ帝国に対し、周辺国は従属関係に入る。こうした両国の関係を「冊封関係」といい、冊封関係によって形づくられる国際秩序を「冊封体制」と呼ぶ。その体制下の国々は当然、シナ文明の巨大な影響のもとにおかれる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン