糞害に悩む自治体では、条例で規制していて「犬の飼い主又は管理する者は、公共の場所等で、犬の糞を放置してはならない」と定めています。違反者には持ち帰りなど改善措置を勧告して、改善しない場合には従うよう命令し、命令に違反すれば、罰金を科す自治体もあります。
罰金は刑事罰ですから、警察マターです。しかし、条例がもともとない自治体や罰則がない条例もあります。警察が苦情を受け付けてくれなかったのは、そのせいかもしれません。ただ罰則がなくても、違反者の氏名の公表、糞害が重大な場合、警察等に刑事罰適用の要請などをする条例もあります。飼い主は新しい住民ですから、役所と相談し、穏やかに指導してもらうのがよいと思います。
敷地外でも、玄関先に犬の糞を放置されると臭いだけでなく、片付けも必要で、日常生活にも支障が生じます。飼い主は動物が人に迷惑を及ぼすことがないよう努める義務があり、受忍限度を超えると動物が加えた損害の賠償責任を負うことになります。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2018年10月5日号