【「靴下の痕」が翌朝まで残る】
 車の運転中に脈拍が急にとびあわや大事故になりかけた経験をした70代のA氏は、「今思えば、『隠れ前兆』だったかも」という症状があったと語る。

「あの頃、異様に『体のむくみ』が酷かったんです。疲れや睡眠不足が原因かと思って、とくに気に留めていなかったのですが、1日靴下を履いていると『靴下の痕』がついて、翌朝になっても取れていないことがありました」

 A氏の証言について、前出・桑原医師が解説する。

「心房細動を放置していると、密かに心不全が進行している可能性があります。心不全によって、体の様々なところにむくみが生じますが、とくにわかりやすいのが足のスネです。以前より靴下の痕が取れにくくなったら、心房細動の隠れサインである可能性があります」

【昼間に突然睡魔が襲う】
 心房細動による「隠れ前兆」として、「昼間なのに、やたらと眠くなる」ことも挙げられるという。

「昼間に眠くなるのは、『睡眠時無呼吸症候群』の代表的な症状です。睡眠時無呼吸症候群の人は、10秒以上の無呼吸状態を一晩に30回ほど繰り返しているため、夜間にしっかり睡眠を取っているつもりでも、良質な睡眠が取れていないことが多い。無呼吸状態のうちに低酸素症を起こして心臓に負担がかかり、心房細動を引き起こすリスクを高めていると考えられます」(桑原医師)

 睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に起こるため自覚症状に乏しく、痩せている人でも発症し得るので注意が必要だ。

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