意外にヒットしている「まずい棒」から、何かとまずい状況にある我々おっさんが学ぶべきポイントは何か。「まずい棒」をかじりながら3つ考えてみました。
●その1「恥ずかしい状態を逆手にとって、開き直る」
●その2「怒られるか怒られないか、ギリギリの線を狙う」
●その3「思いっ切りハードルを下げて、意表を突く」
その1「恥ずかしい状態を逆手にとって、開き直る」。経営状況がまずいと公言し、それを逆手にとって「まずい棒」を販売したことで、多くの人が「しょうがないな。買ってやるか」「そんなにたいへんなんだったら、応援しなきゃ」という気持ちになりました。
私たちおっさんも、日頃から記憶力や体力や精力の衰えを公言し、「ああ、まずいことになっちゃったなあ」と呟いていれば、助けてあげなきゃとか、私がどうにかしてあげたいわと思ってくれる人が現われるかも。少なくとも夢を見ることはできるし、見栄を張ったりカッコつけたりする必要はなくなります。
その2「怒られるか怒られないか、ギリギリの線を狙う」。よく似たイメージの定番スナック菓子があるからこそ、「まずい棒」のインパクトが増幅されているのは間違いありません。さらに同社は、社長や車掌が登場して「まずい・・・もう一本」と、どっかで聞いた決めゼリフを言う動画を何本も公開する暴挙にも出ています。
その「ギリギリ狙い」の果敢な姿勢は、私たちおっさんにとっても、活路を見出す原動力となるはず。怒られるか怒られないか、ウンザリされるかされないか、ギリギリの線を狙いつつ、ちょっと色っぽい話題や過去の自慢話、あるいは説教などを繰り出しましょう。相手の反応はさておき、「やってやったぜ」という満足感は味わえます。
その3「思いっ切りハードルを下げて、意表を突く」。「まずい棒」はいかにもまずそうな名前がついているおかげで、味の評価が甘くなります。私たちおっさんも、日頃から「いやあ、私なんか何もできなくて」「若い人にはぜんぜんついていけなくて」と言い続けていれば、たまにまともな仕事をしたときには、驚かれたり高く評価してもらえたりするでしょう。とうとうまともな仕事をしなかったとしても、あらためて評価は下がりません。
すっかり調子に乗っている(銚子電鉄だけに)「まずい棒」は、記念日まで制定してしまいました。「まずえもん」の誕生日にちなんで、9月31日を「まずい棒の日」として日本記念日協会が認定。9月29日の夜には犬吠駅で誕生前夜祭も開催されます。9月は30日までですが、それも「まずい、うっかりしてた!」と言って乗り切るつもりでしょうか。
何かの拍子に「まずい棒」が手に入ったら、かぶりつきつつ「まずい」という言葉の便利さやポテンシャルを噛みしめましょう。「まずい棒」はさておき、困ったときに「まずい」と正直に弱音を吐くことができれば、怖いものはなくなって、人生を楽に生きられるかもしれません。