国内

戦前のエリートは昭和天皇の言葉を都合よく使い分けていた

軍部は天皇の意向に従わないことも多かった 共同通信社

 暴走する軍部と対峙した昭和天皇。孤独な戦いのなか、お言葉は唯一の武器だった。現代史家の秦郁彦氏が解説する。

 * * *
 明治憲法下の昭和天皇ができるかぎり「立憲君主」の立場を守りたいと望んでいたことは間違いない。皇太子時代に立憲君主制の英国を訪れて王室の「君臨すれども統治せず」というあり方に接したことや、元老の西園寺公望や側近の牧野伸顕らリベラルな人物に囲まれていたことなどの影響が、その背景にはある。

 また、そもそも明治憲法も立憲君主制を念頭に置いて制定された。政治責任を負うのは臣下であって、天皇の裁可は一種の儀礼的な手続きにすぎない。

 だが、立憲君主制の枠組みに収まらない例外的な事例もあった。昭和天皇ご自身も、昭和46年に外国人記者団にこう語っている。

「自分は立憲君主たることを念願としてきたが、2回だけ非常に切迫した緊急事情のため直接行動をとった。そのひとつが二・二六事件であり、もうひとつが終戦のときである」

 ただし実はその二例よりも前に、微妙なケースがあったことも忘れてはいけない。昭和3年に起きた張作霖爆殺事件の責任を取って、翌年に田中義一内閣が総辞職した一件だ。一度は関東軍の河本大作大佐の仕業だと伝えた田中首相が、その後「陸軍には犯人はないだろうと判明しました」などと食言したことに激怒した昭和天皇が、「辞表を出してはどうか」と田中に迫ったのである。

関連キーワード

トピックス

中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
決定戦で横綱を下した安青錦(写真/JMPA)
【最速大関・安青錦の素顔】ウクライナを離れて3年、なぜ強くなれたのか? 来日に尽力した恩人は「日本人的でシャイなところがあって、真面目で相撲が大好き」、周囲へ感謝を忘れない心構え
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
主演映画『TOKYOタクシー』が公開中の木村拓哉
《映画『TOKYOタクシー』も話題》“キムタク”という矜持とともにさらなる高みを目指して歩み続ける木村拓哉が見せた“進化する大人”の姿
女性セブン
北川景子
《子どもを寝かせてから高いお菓子も》北川景子、子育てエピソードに広がる共感、失敗談も隠さずオープンに “39歳のママ女優たち”が支持を集める理由 
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト
CM露出ランキングで初の1位に輝いた今田美桜(時事通信フォト)
《企業の資料を読み込んで現場に…》今田美桜が綾瀬はるかを抑えて2025年「CM露出タレントランキング」1位に輝いた理由
NEWSポストセブン
亡くなったテスタドさん。現場には花が手向けられていた(本人SNSより)
《足立区11人死傷》「2~3年前にSUVでブロック塀に衝突」証言も…容疑者はなぜ免許を持っていた? 弁護士が解説する「『運転できる能力』と『刑事責任能力』は別物」
NEWSポストセブン
アスレジャー姿で飛行機に乗る際に咎められたそう(サラ・ブレイク・チークさんのXより)
《大きな胸でアスレジャーは禁止なの?》モデルも苦言…飛行機内での“不適切な服装”めぐり物議、米・運輸長官がドレスコードに注意喚起「パジャマの着用はやめないか」
NEWSポストセブン
(左から)小林夢果、川崎春花、阿部未悠(時事通信フォト)
《トリプルボギー不倫の余波》女子ゴルフ「シード権」の顔ぶれが激変も川崎春花がシード落ち…ベテランプロは「この1年は禊ということになるのでしょう」
NEWSポストセブン
吉野家が異物混入を認め謝罪した(時事通信、右は吉野家提供)
《吉野家で異物混入》黄ばんだ“謎の白い物体”が湯呑みに付着、店員からは「湯呑みを取り上げられて…」運営元は事実を認めて「現物残っておらず原因特定に至らない」「衛生管理の徹底を実施する」と回答
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン