もちろん私たちは、樹木さんが入院している1か月の間に早く家に戻してあげたいと思っていたのですが、現実的には繋がれている管の数が多すぎて、状況的にまだ家に帰せる状態ではないということが長く続きました。そういう中、ある日、也哉子が婦長さんに呼ばれて、「樹木さんが毎晩、“裕也さんに会いたい”とおっしゃってますよ」と。「えー、本当ですか!?」みたいな話があり、「もしあれでしたら、お会いになられた方がいいんじゃないですか」と言われまして。「これは複数の看護師が証言しています」ということだったので、樹木さんに確認したところ、「まぁ、そうよ。でもおうちに帰ってから暇になるから、そしたらみんなに会うわ」というふうに言っていたんですね。

 そうこうしているうちに時間が過ぎまして、24時間の介護が必要な状況ではあったんですが、「もしかしたらそろそろ家にお帰りになった方が、次のチャンスがあるかわかりません」と言われました。也哉子がそのことを樹木さんに問いかけようと病室に戻ったら、ちょうどそのタイミングで、樹木さんの方から「私、帰るの」と切り出してきまして。そこから嵐のように準備をして、24時間の介護ができる状態を自宅に整えて、迎え入れました。「危険な状態なので、覚悟しながらの移動だと思ってください」と言われる状況の中で、無事に自宅に戻りました。でもそんな心配をよそに、樹木さんはとても穏やかに戻ってきて、準備も速やかに整って、本当にホッとして、「あぁ、帰ってきてよかった」と。

 本当にその日は、いつもよりたくさんのブドウを口に含んで、孫の玄兎(次男・8才)が学校の友達と一緒にスマートフォンで「おかえり、ばぁば」とみんなで叫んでいるような動画を撮ってきたのですが、それを嬉しそうに眺めて…。浅田美代子さんも来ていましたし、和やかな時間を過ごしました。それで、也哉子も私も、「これで私たちも、やっと落ち着いて寝られるね」と。いつ病院から電話がかかってくるかという状態ではなくて、樹木さんはもう下の階にいるわけですから。樹木さんも、私たちがみんなでおしゃべりしているのを聞きながら、すぅっと寝入ったという感じだったんですね。

 にもかかわらず夜中に、樹木さんのそばに付いているかたから、「ちょっと呼吸がおかしいから、いらしてください」と言われて…。

関連記事

トピックス

ビエンチャン中高一貫校を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月19日、撮影/横田紋子)
《生徒たちと笑顔で交流》愛子さま、エレガントなセパレート風のワンピでラオスの学校を訪問 レース生地と爽やかなライトブルーで親しみやすい印象に
NEWSポストセブン
鳥取の美少女として注目され、高校時代にグラビアデビューを果たした白濱美兎
【名づけ親は地元新聞社】「全鳥取県民の妹」と呼ばれるグラドル白濱美兎 あふれ出る地元愛と東京で気づいた「県民性の違い」
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン
『ルポ失踪 逃げた人間はどのような人生を送っているのか?』(星海社新書)を9月に上梓したルポライターの松本祐貴氏
『ルポ失踪』著者が明かす「失踪」に魅力を感じた理由 取材を通じて「人生をやり直そうとするエネルギーのすごさに驚かされた」と語る 辛い時は「逃げることも選択肢」と説く
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《巨人の魅力はなんですか?》争奪戦の前田健太にファンが直球質問、ザワつくイベント会場で明かしていた本音「給料面とか、食堂の食べ物がいいとか…」
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン