早霧:言葉で言うほど簡単には、自分ってなかなか変えられないじゃないですか。でも、貂々さんは、水島先生や落語との出会いで変わったんですね! だいぶ前ですけど、私も変わらない自分が嫌すぎて、悩んだ時期があったんです。でも、悩む自分に疲れちゃって、どう頑張っても変わるのは無理だからと、今のネガティブな自分をまずは受け入れたら、それだけでもすごく楽になって。
貂々:ちぎさん(早霧さんの愛称)は、ご自分で「それでいい」と認められたんですね。私、すごい強力なネガティブだったので、すごく時間がかかりました。
早霧:貂々さんもやっぱり、時間をかけて変わられたんですね。
貂々:小さな頃からずっとネガティブ思考で、ようやく変わってきたのはこの2年くらいです。
早霧:えっ!? 思っていた以上に結構最近ですね!
貂々:そうやって変わり出してから、仕事とかうまくいくようになって、やりたかったことも結構かなうようになってきて。すべてが関係しているんだなって思いました。自分では“ネガティブメガネ”って呼んでいるんですけど、それを通してずっと世の中を見ていたのが、この2年ぐらい、ネガティブメガネを外してまともに見えるようになったという感じです。
早霧:すごい。周りのかたからも、「変わったね」とか言われますか?
貂々:言われました。ところで、ちぎさんはどれぐらいネガティブ思考なんですか?
早霧:稽古中はずっとネガティブです。だから、今もネガティブです(笑い)。人に会うときにそれではちょっと失礼なので、一応ちゃんと仕事モードの仮面をつけていますけど。トップ時代の3年間なんて、自分だけが知っている顔は、たぶんどん底の顔をしていました。“どうせ私なんて”と落ち込むときもありますし。
貂々:どん底になってしまう自分がキライだった、ということですか。
早霧:そう。だから、このどん底を経験しないとダメなんだろうなって、逆に思うようにしていました。苦しまないと舞台の初日は開かないんだって。そんなことは絶対にないはずなのに…。
貂々:わかるような気がします。
早霧:幸せな気持ちで稽古していても、絶対に初日は来るはずなのに、苦労とか悩みを経ないとダメなんだって。それがルーティンになっていたんですよね。宝塚を退団したら、どん底はもうやめようと思って、退団後の最初の舞台『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』に臨んだんですけど、やっぱり…。