白石が1人目の被害者Aさん(21才)とSNSを通して知り合ったのは2017年8月8日。すぐにAさんと現場アパートを見に行き契約。22日にアパートに入居し、翌23日に殺害した。9月に入ると、自殺願望をつぶやくツイッターアカウントを開設。
「あのアカウントは、完全に精神が弱っている子の気を引くためのキャラクター作り。『死にたい』というつぶやきとともに、『学校がイヤだ』とか『彼氏が欲しいのにできない』とか具体的な悩みを発信しているかたは特に取り込みやすい。
そういうツイートをしている人を毎日5~10人くらい物色してアプローチしていました。1割くらいのかたから返信がありましたね。だいたい、『死にたい』と言う人なんてみんなかまってほしいだけ。それをうまく聞き出して、懐に入っただけです。自殺サイトではなくツイッターを使ったのは、以前、風俗店に女性を紹介するスカウトの仕事をしていたとき、ツイッターで女性を募集したらすごく集まりがよかったから。私自身は、死にたいと思ったことなんて一度もないです。
被害者のかたたちのことは、最初から欲望の対象として見ていて、自分の家族や友人、お世話になった上司といった“大切な人たち”とは別の次元にいる。自分の中で線引きができているから、殺したことへの後悔とか、遺族に対する申し訳ないという気持ちとかって、一切ないんですよね」
白石は両親と妹の4人家族で育った。父親は大手自動車メーカーの工場に勤務した後、独立。5才年下の妹は名門私立大学を卒業したエリートだ。
一方、白石は神奈川県横浜市にある県立高校を卒業後、地元のスーパーに就職するも、2年あまりで退職。パチンコ店などのアルバイトを転々とし、東京・新宿の歌舞伎町で風俗店のスカウトをしていた。
白石が職を転々とする頃、母親と妹は自宅を出て、父親と2人暮らしが始まった。白石が幼少期から暮らしたその一戸建ては、犯行現場となったアパートから車で15分ほどのところにある。
「父親は、仕事が恐ろしく忙しく、家族がお金に困ったということはなかったが、仕事を頑張りすぎて、いつも疲れ切っていました。お金と仕事に対する熱量と収入のバランスがとれていなかったので、もっと楽な、ストレスのない仕事をすればいいのにと思っていました。
母親はきれいで料理がうまくて非の打ち所がない完璧な人。自分が19才のときに、パチスロにハマって多額のお金をせびったことで断絶してしまった。1回3万~5万円くらいで、結果として40万~50万円くらい借りがあります。妹は、優しくて、頭もよくて気も使える人。
この件では父や妹にも迷惑をかけてしまったと思う。もし戻れるなら高校を卒業して、スーパーのベーカリー部門で働き始めた頃に戻ってやり直したい。そうしたら今頃、パンをかまどで焼いてたんでしょうね」
※女性セブン2018年11月1日号