読売報道をきっかけに、〈加藤氏が「ポスト安倍」意欲〉(朝日)、〈2派閥統一候補に急浮上〉(産経)と各紙が一斉にスポットライトをあてている。
もっとも国民が「加藤」と聞いても、下の名前も、顔もすぐには浮かんでこない。
厚労相時代には、大失策もやった。今年2月、安倍政権の看板である「働き方改革法案」をめぐる同省のデータ改竄問題(*1)で勝信氏が「なくなった」と説明した証拠資料が発見され、国会が大紛糾した。責任の重大さは昨年の防衛省不祥事で猛批判を浴びた稲田朋美・元防衛相に引けをとらない。ところが、政治家としての存在感があまりに薄いため、稲田氏と違って国民にスキャンダル大臣の印象も残らなかった。
【*1/裁量労働制をめぐり、厚労省の調査データに異常値が次々と発覚。加藤勝信厚労相が「なくなっている」と答弁した調査原票が、厚労省の地下から見つかった】
しかし、経歴を見ると、出世街道まっしぐら。
安倍首相が政権に返り咲いて以来、官房副長官、一億総活躍相、厚労相、そして10月の内閣改造で「大臣3つ分」といわれる重量級ポストの自民党総務会長に大抜擢された。それでも国民には顔が思い浮かばない。各紙の「ポスト安倍」世論調査には小泉進次郎氏や河野太郎氏の名が登場するが、加藤の「カ」の字も見当たらない。
おそらく「首相候補」とメディアに騒がれたのは今回が初めてだが、勝信氏がにわかに脚光を浴びているのをことのほか喜んでいるのが御年90歳の安倍首相の母・洋子さんだという。安倍家と古くから親交がある政界関係者が語る。