ライフ

災害時のペット 迷子対策には「マイクロチップ」が有効

迷子対策には、マイクロチップを埋め込むのも手(写真/アフロ)

 災害発生時、ペットは避難所に入れてもらえるのか──。2011年に発生した東日本大震災では、地震・津波・原子力発電所の放射能漏れ事故という、未曽有の広域大災害となったために、ペットと飼い主が離れ離れになる悲しい事態が多数起きた。その影響は、被災から7年経った今も続いており、飼い主の元に戻れないペットが全国のシェルターに多数いる。

「東日本大震災後の福島では、野犬・野良猫化したペットたちを捕まえるのは大変でした。保護できず、命を落としたペットもたくさんいます。だからこそ強く言いたいのですが、災害時には絶対、ペットと逃げてほしい」

 こう話すのは、被災地などの保護動物の譲渡を行う団体ランコントレ・ミグノン代表の友森玲子さんだ。

 東日本大震災でのペットの状況を踏まえ、環境省は2013年、自治体向けのペットの救護対策ガイドラインを、さらに今年9月には飼い主向けの災害対策ガイドラインを発表。そこで飼い主に呼びかけているのが、ペットといっしょに避難する“同行避難”だ。

 ただし、ペット防災に取り組む自治体の動物担当部署と、人の避難に対応する防災部署とで、「意思の疎通が図れないことが多い」とNPO法人アナイス代表・平井潤子さんは言う。

 同行避難をしろと言われても、実際はすべての避難所でペットを受け入れてくれるわけではなく、ペットと飼い主が行き場を失う可能性も高い。

「特に東京や大阪といった都心部は人口が多いため、そもそも避難所の受け入れ人数に限界があります。自宅が無事なら在宅避難が現実的です」(平井さん)

「避難所に行けば行政に助けてもらえる」というのは特例。基本は自分たちで準備し、対処しないといけないと知っておいてほしい。

◆日頃のしつけと飼育がいざという時役立つ

 いざペットともに避難するにあたって、事前にすべきもっと大切な“コト”がある。

「2004年の新潟県中越地震では、保護された猫がFIV(猫免疫不全ウイルス感染症、猫エイズのこと)」に感染していて譲渡に時間がかかってしまいました。ですから、犬も猫も日頃の飼育方法やしつけが大切になります」とは前出の平井さん。ではまず、何をすべきか。

 犬と猫に共通していえるのは、ワクチン接種やノミダニ予防。これは基本中の基本。また、同行避難ができても、避難所ではケージに入れている機会が多くなるので、ケージに慣れさせる必要もある。

「猫は外に出すと感染症にかかりやすいので、室内飼育に。犬なら、家族以外にもなつくよう社会性を身につけさせましょう。そうすれば、逃げても捕まえやすく、避難所でもムダ吠えしにくくなります」(平井さん)

 また、被災後に問題になるのが迷子。気が動転したペットが逃げたり、外出先で被災した飼い主と、そのまま会えなくなることも。対策には、首輪や迷子札、鑑札をつけるほか、マイクロチップを埋め込むのもおすすめだ。

「犬も猫も被災後、やせたり汚れたりして顔つきが変わります。また、首輪や迷子札は抜け落ちてなくなることもあります。だからこそ、ペットと飼い主をつなぐ“命綱”が必要。抜け落ちてなくならないマイクロチップはその1つです」(平井さん)

※女性セブン2018年11月8日号

関連記事

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン