国内

増税時の軽減税率導入で廃業する業者が増えるカラクリ

しわ寄せは年金生活者や低所得者に(時事通信フォト)

 2019年10月、消費税が10%になることに伴って食品や飲料に軽減税率が適用されることになっているが、持ち帰りの弁当(8%)とイートインの客(外食だから10%)をうまく捌けるのかという懸念もあり、コンビニやスーパーの店頭は大混乱することが予想されている。

 さらなる混乱もある。複数の税率が併存することを理由に、すべての取引に「インボイス(適格請求書)」の発行が必要になるからだ(2023年に義務化)。これは取引日や品目、金額や税額を詳細に記入した請求書で、売り手が取引ごとに相手に発行し、控えの保存も義務づけられる。

「インボイスを導入している韓国では、零細の自営業者でもプリントアウトした税務申告資料が何百ページもの分量になる」(税理士で立正大学教授の浦野広明氏)

 それだけではない。現在は売り上げ1000万円未満の自営業者は消費税が免除される。零細商店や1人親方の大工、個人タクシーをはじめ全国の500万人(社)が対象だが、消費税を納めない業者はインボイスを発行できない。

 買い手はインボイスがなければ仕入れにかかった消費税を控除されず、納税額が跳ねあがってしまう。

「すると企業は非課税業者とは取引しなくなる。非課税業者はインボイス発行の資格を得るために売り上げ1000万円以下でも消費税を納めるしかない。税を払えずに廃業する業者も増えるでしょう」(同前)

 増税のしわ寄せは年金生活者、低所得者、零細業者に向かっていく。

※週刊ポスト2018年11月2日号

関連記事

トピックス

麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
【大麻のルールをプレゼンしていた】俳優・清水尋也容疑者が“3か月間の米ロス留学”で発表した“マリファナの法律”「本人はどこの国へ行ってもダメ」《麻薬取締法違反で逮捕》
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
清武英利氏がノンフィクション作品『記者は天国に行けない 反骨のジャーナリズム戦記』(文藝春秋刊)を上梓した
《出世や歳に負けるな。逃げずに書き続けよう》ノンフィクション作家・清武英利氏が語った「最後の独裁者を書いた理由」「僕は“鉱夫”でありたい」
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《麻薬取締法違反の疑いでガサ入れ》サントリー新浪剛史会長「知人女性が送ってきた」「適法との認識で購入したサプリ」問題で辞任 “海外出張後にジム”多忙な中で追求していた筋肉
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さんが綴る“からっぽの夏休み”「SNSや世間のゴタゴタも全部がバカらしくなった」
NEWSポストセブン
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン