ビジネス

「成長か死か」厳しい理念で資産を築いたユニクロ柳井正氏

取締役に息子を充てる人事を発表する柳井氏(共同通信社)

〈成長しなければ会社は死んだも同然〉
〈泳げない奴は沈めばいい〉

 こんな厳しい言葉を社員に投げかけて、日本2位となる資産を築いたのがユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正氏(69才)だ。雑誌フォーブス・ジャパンの「日本長者番付2018」によると、柳井氏の資産は2兆210億円で、ソフトバンクの孫正義氏(2兆2930億円)に次いで2位となっている。『お金持ちの行動学』(宝島社)の著者で京都女子大学客員教授の橘木俊詔さんはこう話す。

「もともと父の等氏が山口県宇部市で開業した紳士服ショップを正氏が世襲しました。徹底した合理化で高品質なのに低価格の商品を実現し、地方の小企業を世界のユニクロまで育て上げた柳井氏の功績は大きい」

 一方でユニクロの実店舗に潜入取材した週刊誌の記者が過酷な労働環境を「ブラック企業」として告発するなど、柳井氏の経営手腕には賛否両論がつきまとう。

 そんな世襲企業で今注目されるのが後継者問題だ。10月11日の決算発表では、柳井氏の2人の息子を11月末の株主総会で取締役に就任させるという人事が発表された。柳井氏は常々、「世襲は絶対にしない」と公言してきたが、市場には「息子に継がせるのでは」との憶測が飛び交う。

「柳井氏は、かつて玉塚元一氏(現ローソン顧問)を後任社長に据えたが、経営方針が気に食わずわずか3年で更迭し、自ら社長に返り咲いた過去があります。“成長か死か”を部下に迫る厳しいかただけに、前言を撤回して息子を後釜に据えることも充分ありえます」(経済ジャーナリスト)

 今も昔も、金持ち社長の後継者は大きな難問だ。

「昔の方が“子に継がせたい”との意識が強く、最近は“おれ一代でいい”という傾向があります」(橘木さん)

 最近も大塚家具の「父娘骨肉の争い」や、大戸屋の「創業家対経営陣の戦い」が起こったばかり。

 今期決算で売上高が初めて2兆円を突破したファーストリテイリング。カリスマ剛腕社長の決断はいかに。

■柳井正(やない・ただし)/株式会社ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長 
1949年山口県生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。1984年、カジュアルウエアの小売店「ユニクロ」の第1号店を広島市に出店し、同年社長に就任。1991年に社名をファーストリテイリングに変更。妻と息子2人の4人家族。住まいは、2600坪という広大な土地に建てた渋谷区の一戸建て。ハワイ・マウイ島にも別荘を所有。会食を好まず、社外の人と食事をするのは月に1、2回だけ。

※女性セブン2018年11月15日号

関連記事

トピックス

ヴィクトリア皇太子と夫のダニエル王子を招かれた天皇皇后両陛下(2025年10月14日、時事通信フォト)
「同じシルバーのお召し物が素敵」皇后雅子さま、夕食会ファッションは“クール”で洗練されたセットアップコーデ
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
【長野立てこもり殺人事件判決】「絞首刑になるのは長く辛く苦しいので、そういう死に方は嫌だ」死刑を言い渡された犯人が逮捕前に語っていた極刑への思い
NEWSポストセブン
ラブホテルから出てくる小川晶・市長(左)とX氏
【前橋市・小川晶市長に問われる“市長の資質”】「高級外車のドアを既婚部下に開けさせ、後部座席に乗り込みラブホへ」証拠動画で浮かび上がった“釈明会見の矛盾”
週刊ポスト
米倉涼子を追い詰めたのはだれか(時事通信フォト)
《米倉涼子マトリガサ入れ報道の深層》ダンサー恋人だけではない「モラハラ疑惑」「覚醒剤で逮捕」「隠し子」…男性のトラブルに巻き込まれるパターンが多いその人生
週刊ポスト
問題は小川晶・市長に政治家としての資質が問われていること(時事通信フォト)
「ズバリ、彼女の魅力は顔だよ」前橋市・小川晶市長、“ラブホ通い”発覚後も熱烈支援者からは擁護の声、支援団体幹部「彼女を信じているよ」
週刊ポスト
新聞・テレビにとってなぜ「高市政権ができない」ほうが有り難いのか(時事通信フォト)
《自民党総裁選の予測も大外れ》解散風を煽り「自民苦戦」を書き立てる新聞・テレビから透けて見える“高市政権では政権中枢に食い込めない”メディアの事情
週刊ポスト
ソフトバンクの佐藤直樹(時事通信フォト)
【独自】ソフトバンクドラ1佐藤直樹が婚約者への顔面殴打で警察沙汰 女性は「殺されるかと思った」リーグ優勝に貢献した“鷹のスピードスター”が男女トラブル 双方被害届の泥沼
NEWSポストセブン
出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
《水原一平を待ち続ける》最愛の妻・Aさんが“引っ越し”、夫婦で住んでいた「プール付きマンション」を解約…「一平さんしか家族がいない」明かされていた一途な思い
NEWSポストセブン
公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
NEWSポストセブン