「ある研究によれば、自然の中で遊ぶ機会が多い子供の方が、自己肯定感が高い傾向にあったそうです。体を思いっきり動かすと、脳内ではいわゆる“幸せホルモン”が分泌され、ポジティブな気持ちで満ち溢れるのです。

 また一流大学に通う子供の親の4割近くが幼少期に気をつけたこととして『思いっきり遊ばせる』を挙げています。遊びごとで子供は問題解決能力を自然と身につけていきます。遊ぶと楽しいから自然と笑顔になります。心がポジティブだからこそ失敗は学びの機会となるのです。遊びは酸素と同じくらい子供の非認知能力の育成に重要です」

 こうして「非認知能力」の重要性がわかると、すでに高校生以上の子を持つ親は「気づくのが遅かった」と思うだろうが、それは早計だ。

「非認知能力の向上は、いくつになってからでもできます。もちろん0~10才までがいちばん身につきやすいのですが、高校生だろうが、大学生だろうが遅いことはないのです。親や年配のかたも、ぜひ非認知能力を高めてほしい。

 私は35才から始めて自分への見方が変わり、生きがいを見つけ、人生の選択肢が増え、幸福度がアップして人生が180度変わりました。今や人生100年時代が到来し、還暦を過ぎても、まだ40年近く生き続けるわけです。それぞれ“パッション(情熱)”を注げる対象を見つけ出し、自分の選択肢を増やしていってほしい」

 重子さんの言うように、非認知能力とは、人生の選択肢を増やす作業でもある。大人であっても、いや、大人こそしなやかな強い心が必要なのだ。

「出る杭は打たれる、と揶揄される日本の文化ですが、個性が切磋琢磨する時代は目の前に来ているのです」

 2020年教育改革により、日本でも非認知能力を伸ばす教育が主流となる。先駆けて実践して損はないはずだ。

※女性セブン2018年11月15日号

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