〈家の前を警察、報道の人、中学生が歩いたり、前に止まって警察の人がメモを取ったりしていました〉
〈20日頃、潜伏先に警察が入って来たが、屋根裏まで調べず見つからず〉
窮地を逃れた平尾受刑者は、空き家に潜伏中、テレビも見ていたという。
〈島の人たちに、連日の捜査でとても迷惑や不安を与えてることで、申し訳ない気持ちがあった〉
そして24日、彼は向島からの“脱出”を決意する。尾道水道を渡れば本州まで最短200m。泳げそうな距離だが、〈死んでもいいという気持ちで〉と平尾受刑者が綴るように、この200mは並の海域ではない。
フェリーでさえ航路がずれるほどの激しい海流で、小型漁船ではエンジンを止めた瞬間に流される。加えて当日の夜は1時間あたり9.5ミリの雨が降っていた。
同日22時、平尾容疑者は向島の北端から海に入った。
〈200m位の距離を1時間以上泳いだ。海を出た後の寒さなどで体のふるえがずっととまらず(中略)ずっと風邪を引いてました〉
命からがら尾道市内に入った平尾受刑者は、再び潜伏生活に入る。民家の屋根裏に潜入し、〈25日と27日に近くのローソンでマスクで顔を隠してパンやお菓子を購入〉するなど自由に過ごしていた。