未知との遭遇

 快活に育った僕ですが、まだ日本に外国人が少なかった子供の頃、イヤな思いを全くしなかったわけではありません。当時の有名なアフリカ系タレントといえば、サンコンさんやゾマホンさんなど。本当はとても知的な人たちなのに、テレビでは滑稽な役回りしか割り当てられていませんでした。その影響で、学校などでは面白おかしくイジられることが多かったんです。

 小さい頃は外見(アフリカン)と中身(日本育ち)のギャップでいい思いをしたことはなかったのですが、それがだんだん変わっていったのが中学のときです。

 覚えているのは、部活でバスケットボールの試合に臨んだ時のこと。レギュラーでもないのに、ベンチに座らされました。先輩曰く、僕が座っているだけで相手にプレッシャーを与えられるというんです(笑)。

 関西、特にお笑いの世界には「オイシイ」という概念がありますが、僕自身も、「これはこれでオイシイかな」と思えるようになっていきました。社会人になった頃には、完全に自分の特徴を「燃料」にすることができるようになっていったんです。

 ただ、日本に暮らすマイノリティが全てそうであるわけではありません。カメルーンと日本のハーフである弟や妹たちは、音楽やファッションなどの「カッコいい」分野に進んでいきました。そんな弟から見ると、僕の生き方は「プライドがない」と映るようです。

 外見と中身のギャップを笑いに変えることは、周りにおもねる僕の「弱さ」だと言われたこともあります。でも、僕からすると、逆に弟こそ弱く感じられました。「おまえはそんなのを笑い飛ばす強さもないの?」と。誰しも何かで認められたいと思っていて、その方向性が違うだけの話なのですが……。

関連キーワード

関連記事

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン