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2018.11.17 16:00  週刊ポスト

岸部一徳 『死の棘』で知った“棒読み”を生かす芝居哲学

岸部一徳が『死の棘』の思い出を語る

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、俳優・岸部一徳が、数多く出演した大林宣彦監督作品、本格的に俳優の仕事に取り組むきっかけとなった小栗康平監督作『死の棘』に出演した思い出について語った言葉をお届けする。

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 ミュージシャンから俳優に転身した岸部一徳は、一九八〇年代以降は名監督たちの映画に次々と出演する。中でも大林宣彦監督作品には数多く出てきた。

「大林さんは映らないところをきちんと作る人です。たとえば、こうしてインタビューしているシーンを撮ったとして、机の上は映らないとします。でも、監督はそこも美術部に小道具を揃えさせる。それはたまたま美術の話ですが、俳優も同じだと思いました。省略はしちゃだめだ、という。自分が映っていないカットでも、誰かがやっているのならちゃんと向こう側に座って相手をする。

 僕は、芝居で大事なのはリアクションだと思っているところがあります。誰かが大事なセリフを言っている時にそれを聞いている、そのリアクション。むしろ、セリフで何かを言う側よりも、セリフを聞いて、それを自分の中でその役としてどう受け止め、どう感じているかを表現することの方が大事だという感じでいます。

 それと構図ですね。監督がどういう風な構図を作ろうとしていて、たとえば端っこに座っているなら、それがどう映るのか。そこを同時に考えているところもあります。監督はアングルで一つの画を作っていくわけですから、そのフレームにどう収まっているのかは考えますね」

 九〇年の小栗康平監督作『死の棘』では、精神を病んでいく妻(松坂慶子)に献身的に尽くす夫を演じ、高い評価を受ける。

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