「肝臓では、胆汁という消化液が作られます。普段、胆汁は胆管を通って十二指腸へと流れていきますが、肝臓の疾患があると胆汁がうまく流れず、主な成分である『ビリルビン』という物質が血液中にしみ出して全身にまわる。このビリルビンが、痒みを誘発するんです。急性肝炎などが疑われ、最悪の場合肝硬変につながります」(同前)
胆汁による痒みは、肝臓のトラブルを示すだけではない。
「胆のうがんや胆管がん、すい臓がんによって、胆汁の流れがせき止められ、痒みの症状となっているケースも考えられます」(同前)
では、“死に至る痒み”かどうかをどう見極めればいいのか。
「保湿剤や塗り薬を使っても皮膚の痒みが治らないようなら、内臓に起因していることを疑うべきです。乾燥肌は体全体に痒みを感じますが、内臓疾患が原因の場合、肘の内側やひざの後ろ側など、皮膚のやわらかい部分に出やすい」(宮元通りクリニック院長で内科医の渡会敏之氏)
中野氏が続ける。
「胆汁が原因の場合、黄疸が出ることが多い。初期だと、まず白目が若干黄色くなります。痒みが治まらないなら、黄疸の有無を確認するのも1つの方法です」
痒みは、人体の「アラームリアクション(警告反応)」とも呼ばれる。そこにはちゃんとした理由があるのだ。
※週刊ポスト2018年11月30日号