国内

三陸のホテルと皇居をつないだハマギクの花の物語

ホテルのベランダには可憐なハマギクの花が元気に咲いている(撮影/JMPA)

 2011年の東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県大槌町。22mもの津波が襲い、豊かな三陸海岸を眺望できる『浪板観光ホテル』も営業停止に。

 当時ロビーにいた社長の山崎龍太郎さんは波にのまれた。山崎さんの弟で同ホテル常務の千代川茂さんが再建を決めたのは、陛下との思い出だった。

 遡ること14年前の1997年に、『第17回全国豊かな海づくり大会』で大槌漁港を訪れた両陛下は、当時『浪板観光ホテル』の名だった同ホテルに宿泊。

 近くを散策された際、崖側に咲く可憐な白い花に目をとめられた。「あの花は何ですか?」と尋ねられ、「ハマナスですね」と答えてしまった千代川さんに、陛下は優しく「ハマギクじゃないかな?」とお声がけされたという。

 実は、ハマギクは陛下が好まれる花だった。そこで後日、兄の山崎さんは、ハマギクの苗を皇居に献上する。

――震災から半年後の2011年秋、千代川さんは皇后陛下の誕生日に宮内庁が公開した写真を見て息を呑んだ。そこには兄が贈ったハマギクの花が真っ白に咲いていた。

「ハマギクの花言葉は“逆境に立ち向かう”。兄が贈ったハマギクが、皇居で美しく咲いていました。その姿に勇気づけられ、ホテルの再建を決めたんです」(千代川さん)

 2013年8月、『三陸花ホテルはまぎく』と、名前を新たにホテルを再開。2016年9月には両陛下が訪れ、千代川さんの出迎えに「頑張りましたね」と、優しく声をかけられた。

【三陸花ホテルはまぎく】
岩手県上閉伊郡大槌町浪板海岸

※女性セブン2018年11月29日・12月6日号

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