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トライアウトで「野球じゃない仕事」を見つけた男たち

ゴールドジムでトレーナーを務める藤谷(写真:大塚恭義)


◆社会人野球が「いちばん幸せ」

 元千葉ロッテの藤谷周平(31)は、千葉ロッテの2軍が日本一となった2014年、祝勝会の真っ直中に、電話で非情な通告を受けた。「あ、来たな」。肩の故障でそのシーズンを棒に振っていた藤谷は、「戦力外」を覚悟していた。

 トライアウトを受験。NPBの球団ではなく、「ゴールドジム」が運営する社会人野球「THINK フィットネス・ゴールドジムベースボールクラブ」から声がかかった。

 現在はゴールドジム四谷東京でトレーナーリーダーを務めながら、チームではコーチ兼投手として活躍している。身長は188センチで、体重は85キロ。プロ野球時代より細くなったと笑うが、それでもさすがゴールドジムのトレーナーで、引き締まった肉体を維持している。日々の業務は会員に対するトレーニング指導・安全管理や新人教育に加え、店舗運営の全般だ。

「野球を続けるかに関して、悩みました。プロではありませんし……。ただ、軽い気持ちで入ったんですが、想像以上にレベルが高くびっくりしましたね。選手手当のようなものはなく、むしろ部費を払って活動しているので、部活動的な感覚ですね。でも、充実しています」

 千葉ロッテ時代の年俸は約450万円。正社員として働く現在は、「もちろん、それより上です」。プロ時代から付き合っていた女性と3年前に結婚し、娘にも恵まれた。「今は幸せです」という。

 今年のトライアウトが開催されたタマホームスタジアム筑後のバックネット裏には、NPBの球団スカウトだけでなく、メジャーリーグや国内独立リーグなど、40チーム以上の関係者が視察に訪れていた。

 その中には、社会人の名門「JX-ENEOS」のチーム関係者の姿もあった。右の大砲を捜しているらしく、お目当ての選手も見つかっている様子だった。

 野球への未練を断ち切れない者にとって、給与も引退後の人生も期待できる社会人チームから声がかかることこそ、最も幸福なセカンドキャリアではないか。

 数年前のトライアウトの経験者で、会場で企業に声をかけられて就職し、今ではヘッドハンターとしてトライアウト会場に来場している元プロ野球選手が、こんなことを話してくれた。

「トライアウトのロッカールームでは、参加者同士でセカンドキャリアについて話すこともある。実は、『社会人チームから声がかかったら、一番幸せだよな』って言っている人も多いんです。独立リーグだと給料も安いですし、引退後の仕事は保障されない。それなら再びアマチュアとして、社会人で野球をやった方が幸福な人生を送れるんじゃないか、と」

◆G.G.佐藤が「二級土木施工管理技士」?

 埼玉西武や千葉ロッテで活躍したG.G.佐藤(40)は、引退後、野球界から離れたひとりだ。

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