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天皇「能動化」への危惧を開けっぴろげに検証した平成の書

雑文家の平山周吉氏

 平成の終わりが近づいている。平成日本に生きた者として、雑文家の平山周吉氏に、忘れてはならない出来事と、それを象徴する書物を一冊、選んでもらった。

●『天皇の近代』/御厨貴編著/千倉書房/3200円+税

 平成の世の空気を呼吸しながら、昭和という時代を恋い慕って暮らしている。そんな時代錯誤の我が身を、嫌でも現実に引き戻したのが、「平成の玉音放送」であった。

 退位の意向を強く滲ませた今上天皇の「おことば」は、平成二十八年(二〇一六)八月八日に全国放送された。ビデオメッセージというよりは、「御下賜」という古めかしい言葉がふさわしい、仰々しい取扱われ方であった。約一ヵ月前のNHKのスクープ報道から、人為的に作られた流れに沿って、大多数の国民は「おことば」を素直に、有難く拝聴した。

 昭和が化石化したような偏屈な「聞く耳」しか持たない私は、「これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないか」という一節に、微かな違和を覚えた。「全身全霊」といった自己評価を慎むのが、昭和までの日本人の倫理観だったのではないか。これが「平成流」なのだろうか。

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