国内

元組長が語る、暴力団と半グレ集団の違い

元組長が半グレ集団の勢力圏を解説

 警察の内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た警官の日常や刑事の捜査活動などにおける驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、暴力団の元組長が半グレ集団について語る。

 * * *
「ヤクザの世界は、パワハラで成り立ってますからねぇ。それを問題にするやつなんて、ここでは生きていけませんよ」

 そう言って元暴力団組長は、ハハハと上を向いて笑った。今年、スポーツ界で露見した数々のパワハラ問題について、一笑に付したのだ。

「あんなのを問題にするなんて俺たちからしたら、まるっきりお笑い草ですよ。

 おい、お前が行ってこい!と組長に言われて、いやぁ~おやじ、それはダメですよ、パワハラですって言うんですかね。世間が言うパワハラなんて、俺たちの世界じゃあ、バカかお前、何言ってんの? 頭、おかしくなったのか?と言われるのがオチですよ」

 だいたい、パワハラを受けましたって、どこに相談すればいいんですか? パワハラ相談窓口に電話したら、きっちり聞いてくれるんすかね」

 相談された方もさぞ困るだろう。

「ボクシングも相撲も興行があったから、何があったか見当はつくけど、まあどこも変わろうとしてるんでしょう。今は付き合いがありませんから」

 世間のパワハラ問題について、元組長はここで話を切った。おもむろにたばこに手を伸ばすと、口にくわえて火をつけた。それ以上、突っ込んで話を聞ける雰囲気ではない。

 かわりに話し出したのは、半グレについてだ。おりしも先日、大阪府警が、ミナミを拠点とする半グレ集団「アビスグループ」の男女49人を逮捕、起訴したと発表したばかり。

 半グレは暴走族あがりの者が多く、暴力団には属さない。そのため彼らには暴力団対策法も暴力団排除条例も適用されない。法的には逮捕、起訴するにも一般人と同じ扱いになる。代金請求で客とトラブルになり暴行したり、他の店の経営者を襲撃する準備をしていたのが実際の逮捕容疑だ。

 ぼったくりや暴行の理由は、リーダーへの上納金。目標額を納められないと、集団リンチに合うからだという。

「リンチとパワハラは違う話だ。パワハラっていうのは、絶対的上下関係や枠組みがあっての話だろう。やつらには規律もルールもない」

 ヤクザは権力やパワーマネジメントで成り立っている世界。だが、それを維持するために厳しいルールや規律が存在する世界でもある。半グレとはそこが違う。

「やつらには枠組みがない。縛りがない。縄張りがない。ヤクザにあるものが何もないから何でもやる。何でもアリだ。ヤクザはルールがすごく多くて、あれもやっちゃダメ、これもダメ。やったら破門になるわけで、破門になったら誰もそいつに見向きもしない。だから、なるべくそうならないようにするのがヤクザさ」

 近年、暴力団が衰退するとともに、半グレが勢力を拡大してきたと言われる。東京なら、中国人の半グレ集団「怒羅権」や「関東連合」の名前は、一度は聞いたことがあるだろう。

「やつらにも派閥やグループがある。それぞれがお互いに仲がいいかというと、それは違うね。やっていることが違うから。上野だと振り込め詐欺とか、ここはアダルト関係とか、やっていることが違うから仲がいいということはない」

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン