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元組長が語る、暴力団と半グレ集団の違い

 半グレ集団は、振り込め詐欺や売春など女の子の斡旋、アダルト関係、水商売が仕事の中心と、元組長は話す。大坂で逮捕された半グレ集団はガールズバーを17軒経営し、月に5000万円以上を稼いでいたらしい。

 では東京はどうなのか?

「新宿は、もとは怒羅権が強かったから中国系かね。六本木は関東連合系かな。六本木、渋谷、新宿はいろんな土地から人が集まってくる。それにいろんな職種があるので、やつらもターゲットにしやすい。渋谷や新宿には家出してきて、ご飯を食べさせてくれて、お小遣いをくれる人を待ってるような女の子がたくさんいて、そんな子たちを使って商売しているしね。

 六本木で遊ぶ客層はそういう子たちを相手にはしないから、あそこに家出人はいない。キャバクラのお姉ちゃんを口説けばいいからね」

 他の街はどうなのか?

「銀座や赤坂で半グレは見ないね。秋葉原はお店が中国人とグルになって、中国人観光客に高い品物を売り付けて、ガイドとマージンを分けるぐらい。中国人が中国人をだましている。

 上野は中国人の半グレが強いな。地元のやつらが弱いんだ。地元が弱いと他のやつらに入り込まれる。上野はここからここまでが中国という暗黙の了解があってね。俺たちが行っても、誰も声をかけてくれないから、さびしいもんだよ」

 たばこを深く吸い込むと、煙を鼻からフッーと噴いた。

「上野の飲み屋で、『お兄さん、3000円でいいですよ』、そう呼び込みに言われたら、3000円で10人行く。それを毎日毎日、繰り返す。毎日来られると店も困るから、『お願いですから、もう来ないでください』。そう言ってお金を渡すんだ。それも彼ら半グレの手口のひとつだ」

「だがな…」と元組長は、テーブルに肘をついて身を乗り出した。

「やつらのネットワークはすごい。俺たちヤクザの組織より、全然、情報が早いんだ。トップがそれだけ多くないから、連絡も少なくて済むんだろう。もともとやつらはネットワークが商売だから。電話一本で、即座に集まってくる。

 でも情報は早いが、金でつながっているだけのやつらも多い。古い連中が頭に立っているグループもあるが、組織のきっちりした上下関係がない。頭が簡単に入れ変わることもあれば、ヤバくなればすぐに逃げる」

 そこがヤクザと違うところだという。

「1人では何もできない。弱い者の集団さ。そこはヤクザと同じだよ。でもそんな半端者に枠をはめているのがヤクザなんだ」

 元組長はそう言うと、灰皿にたばこをギュッと押し付けた。消されたたばこから、細い煙が立ち上っていた。

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