また、ゴーン容疑者の事件を機に経営者の報酬の“世界基準”にも注目が集まったが、『米国会社四季報 2018春夏号』によると、米国企業の2016年決算の役員報酬トップは、映画制作、テーマパーク運営などを行なうウォルト・ディズニーのCEO、ロバート・アイガー氏で約26億円だった。2位は大手メディア・コムキャストCEOのブライアン・ロバーツ氏で約19億7000万円だ。
金額だけを見ると、日本企業の相場と変わらないようにも感じる。
一方で、長らく「世界一の金持ち」の座にいたマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は、配当で毎年300億~400億円を受け取っていたとも言われており、海の向こうでも「配当」が大きな意味を持っていることがわかる。
「海外では先行して日本と同じことが起きていますが、役員報酬を抑え、代わりに多額の配当を受け取ることは、決して“本当の収入”を隠しているということではありません。
経営者として業績を上げ、企業価値を高めれば配当額が増えます。一方、業績が悪ければ配当はゼロになる。業績次第で得られる金が変わるのだから、企業の経営に対する“究極の出来高払い”だとも言えるのです」(前出・坂田氏)
今回のランキングでは、各企業の経常利益も調査した。大規模な投資を行なったなどの理由で、前期比でマイナスとなっている企業もあるが、経営者の配当が適切かどうかを判断する指標の1つではあるだろう。
総力取材で浮かびあがった日本の企業トップたちの「本当の年収」は、経営者たちの「本当の力量」を示しているのかもしれない。
※週刊ポスト2019年1月1・4日号