これ以外にも2019年入試の傾向が変わりそうな要因がある。
2018年の7月に進学校にアンケートを実施した。825校から回答があったが、「私立大の定員厳格化にどう対応するか」の問いに、「併願校を増やすよう指導」59.3%、「センター試験利用入試の受験を勧める」29.2%、「推薦・AO入試の受験を勧める」23.5%──の順だった。これを見ると、2019年入試でも私立大志願者は激増しそうだ。
センター試験利用入試は一部の私立大を除き、ほとんどの大学で実施している方式だ。センター試験の成績だけで合否が決まる方式がほとんどで、受験料も一般入試の3万5000円の半額以下のところが多く、併願にはもってこい。生徒に勧めやすい方式ともいえよう。しかし、今年はセンター試験の志願者は減少した。2019年のセンター試験の志願者は57万6829人で、今年と比べて5842人、1.0%の減少だ。3年連続増加だったが、歯止めがかかったのだ。
さらに、推薦・AO入試の志願者が増えているようなのだ。なかでも指定校推薦が好調だという。指定校推薦とは、大学が指定校に定めた高校から出願すると、ほぼ100%合格する方式だ。これを使えば、よほどのことがない限り「出願=合格」になる。しかも受験料が1回分で済む。
一般入試で併願校を増やすと、受験料がかさんでしまうため、受験生は併願校を増やす対策を取らず、推薦やAO入試で合格を勝ち取る対策をとっているのではないだろうか。そうなると、平成最後となる2019年の一般入試は、志願者がそうは増えないのではないかと見られる。
大手予備校の予測でも、この2年の激増とは打って変わり、志願者数は2018年並みではないかという。しかも安全志向から難関大を避ける傾向が顕著になっているようだ。
2019年の私立大入試は、それほど志願者が増えず、合格者も大きく減らさず、ここ2年のような厳しい入試にならない可能性が高まっている。「あの難関私大も受けておけば受かった……」とならないよう、強気に入試に望むのが得策かもしれない。そうはいっても、こればかりはフタを開けてみないと分からないことも確かではある。