色んな登場人物の人生が入り乱れるけど、まァ、オイラの役割は「狂言回し」なんでね。
歴史物の大河ドラマだとNHKのアナウンサーなんかが、ドラマの冒頭や場面転換の時に「時は戦国~」なんてナレーションを入れるだろ。今回はそれをオイラが高座の上で進めていくんだよ。いつも『奇跡体験!アンビリバボー』(フジテレビ系)の冒頭にオイラが出てくるけど、アレを大河でもやっちまうってことだよな。
しかもドラマなのに、「高座で自由に笑わせて」なんてカンペも出るからね。スタッフやエキストラは毎回同じだから、それなりにお笑いをやってきたオイラが“常連”相手にいつも同じネタをやるワケにもいかないだろ? 仕方ないから前説をやる若手芸人みたいに、毎回ネタを考えてるんだよ。
まァ、みんなをゲラゲラ笑わせても下ネタや危ないネタばっかりなんで、そこは放送されないんだけどさ。もったいないから、収録中に話したネタをどこかで“テレビじゃ言えないオリムピックウラ噺”として披露するつもりだよ。
もうひとつツラいのが、長時間の正座だよ。オイラ下積みから落語をやってるワケじゃないんでね。撮影中は気がつかないんだけど、カットの声がかかると急に脚が痺れて動けなくなっちまうんだよ。で、スタッフに両脇を抱えられながら袖に出ていくもんだから、そこでまた笑いが起こってさ。図らずも、死ぬ寸前まで高座に上がってた晩年の志ん生さんを再現しちまってるというオチなんでさ(笑い)。
だけど、これは危ないね。足先に血液が循環してないような感覚があってさ。「あァ、これがエコノミークラス症候群ってやつか」って分かったよ。長年の慣れなのかもしれないけど、やっぱりプロの落語家は平然とやってて凄いね。オイラも立川梅春(ばいしゅん)なんてふざけた名前で時々高座に上がってるんだけど、プロにはあらゆる部分で及ばないぜ。