芸能

独自進化のイケボ文化 声優が表舞台に出るのは日本特有

日本で独自進化の「イケボ文化」(写真/アフロ)

 ゲームから始まってアニメ化やミュージカル化と、その経済効果は10億円以上。空前の大ブームを巻き起こしている『刀剣乱舞』。人気はとどまるところを知らず、男性声優の活躍の場が広がっている。

 しかもそうした男性声優人気は、刀剣乱舞に限ったことではない。俳優やアイドルにも劣らない整った容姿に、美声を響かせる歌唱力の高さ。抜群のトーク力も兼ね備え、「イケボ」の愛称で、若い女性を中心に支持を得ている。

「イケボ」とは、イケメンボイスの略。アニメ批評家の上田麻由子さんによると、もともとは声だけを聴いて、男性の容姿端麗な顔を想像させることを意味していたという。

「かわいらしい少年系、キラキラの王子さま系、セクシーな低音系など、イケボの種類はさまざま。声を聴くとドキッとしたり、トキメキを感じたり、リラックスしたりと、一度聞くと忘れられない、印象的な声を指していました。それが昨今では、イケメン、つまりルックスもイケてる声優のことをさすようにもなっているようです」(上田さん・以下同)

 声優とはそもそも、アニメキャラクターなどに声を当てる裏方。それも過去の話で、今は声も演技も、さらには顔もイケている人が増え、業界は賑わっているというわけ。各地のドームや日本武道館などで開催される声優のライブイベントには、ファンが会場を埋め尽くす。声優が出席する映画の上映イベントは、チケットが発売されるやいなや即完売。声優が書き手となって本を出版すれば、異例の早さで増刷される。関連アニメグッズは完売で、入手困難に。イケボ人気は計り知れない。

 上田さんは近年のイケボ人気について、こう分析する。

「きっかけは、アイドルアニメ作品の人気が大きいと思います。代表的な作品に『うたの☆プリンスさまっ♪』が挙げられます」

『うたの☆プリンスさまっ♪』とは、アイドルを目指す男の子たちを描いた女性向け恋愛アドベンチャーゲーム。2010年に発売され、その後アニメ化されたことで人気が高まった。2017年5月には、埼玉・メットライフドームで声優18人による歌やダンスを披露したライブイベントが2日間行われ、ファンが会場を埋め尽くした。その動員数は、なんと10万人近くにものぼった。

 そんな声優人気に、当然、各業界も目を付けないはずがない。セブン銀行では、ATM画面に現れる7人のイケメンキャラクターが取引案内をする新サービス『セブンコンシェルジュ』がスタート。イケボの美声聞きたさに、貯金してしまうとSNSでも話題になった。

 このほか映画館や商業施設、電車の車内アナウンスなど、あらゆる所にイケボはあふれている。このように、裏方のはずの声優が、表舞台に立つなどという現象は、日本特有。他に例を見ない。

「他国にも声の吹き替えはありますが、舞台俳優が行っていることが多い。日本のように声優が大規模なライブを開催したり、写真集を出すというのは聞いたことがありません」

 独自の発展を遂げた日本のイケボ文化。その勢いはますます加速している。

※女性セブン2019年1月17・24日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
クマ対策には様々な制約も(時事通信フォト)
《クマ対策に出動しても「撃てない」自衛隊》唯一の可能性は凶暴化&大量出没した際の“超法規的措置”としての防御出動 「警察官がライフルで駆除」も始動へ
週刊ポスト
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下主催の「茶会」に愛子さまと佳子さまも出席された(2025年11月4日、時事通信フォト)
《同系色で再び“仲良し”コーデ》愛子さまはピンクで優しい印象に 佳子さまはコーラルオレンジで華やかさを演出 
NEWSポストセブン
「高市外交」の舞台裏での仕掛けを紐解く(時事通信フォト)
《台湾代表との会談写真をSNSにアップ》高市早苗首相が仕掛けた中国・習近平主席のメンツを潰す“奇襲攻撃”の裏側 「台湾有事を看過するつもりはない」の姿勢を示す
週刊ポスト
クマ捕獲用の箱わなを扱う自衛隊員の様子(陸上自衛隊秋田駐屯地提供)
クマ対策で出動も「発砲できない」自衛隊 法的制約のほか「訓練していない」「装備がない」という実情 遭遇したら「クマ撃退スプレーか伏せてかわすくらい」
週刊ポスト
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
文京区湯島のマッサージ店で12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕された(左・HPより)
《本物の“カサイ”学ばせます》12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕、湯島・違法マッサージ店の“実態”「(客は)40、50代くらいが多かった」「床にマットレス直置き」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
NEWSポストセブン