ライフ

ベストセラー米教授が問う 「死とは何か? 悪いことか?」

人文書としては異例の世界25万部のベストセラーに

 死を迎えた後も、人格や魂は存在し続ける──人間は「身体」と「魂」の組み合わせであるという二元論は、「生まれ変わりの謎」の根底にある考え方なのだろう。そうした死生観について徹底的に考察を重ねた哲学教授の著作が、世界的ベストセラーになっている。

 シェリー・ケーガン教授が米イェール大学で行なう講義の「風景」は独特だ。ネクタイはせず、ジャケットも着ない。机の上に胡座をかく姿は、米国人の受講生には「東洋哲学を説く高僧のよう」に映るという。

 邦訳本『「死」とは何か』(文響社)は、23年間続いているケーガン教授の人気講義をまとめた内容だ。

 原著『DEATH』では、前半で「魂とは何か」「肉体が死んだ後に我々は存在するのか」を考察し、後半では「死は怖いのか」「永遠の生命は望ましいのか」などに言及する。それは一切の宗教的考察を排した、論理的思考によるアプローチだ。

 ただし、邦訳版には〈縮約版〉とあるように、前半部分の大半が割愛されている。古代ギリシャ、ローマ時代の哲学論を引用しつつ考察を進める前半の内容は、名門・イェール大学(しかも上級課程)の学生向けのもので、確かに“アカデミックすぎる”かもしれない。

 ケーガン教授は「死」に関する数々の考察を著わしている。講義同様、「君への問いかけ」をきっかけに賛否両論を織り交ぜる“ロジカルな禅問答”ともいえるスタイルは興味深い。

◆「死後」と「誕生前」は違うのか?

関連キーワード

関連記事

トピックス

長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン