たとえば2011年、蒙牛乳業の紙パック入り牛乳から発がん性物質のカビ毒「アフラトキシン」が検出された。原因は牛に与えたカビの生えた餌で、検出されたのは基準値の2.4倍もの量であったが、蒙牛乳業は現在も何事もなかったように出荷を続けている。
お隣とはいえ別の国だから、文化や風習が異なるのは仕方のないこと。だが、こと食の安全に関しては、そうはいかない。
日本の農林水産物の主な輸入相手国をみると、米国1兆7116億円、中国1兆2110億円、タイ5694億円となっている(2017年)。それだけ“中国依存”しているわが国だが、中国ではまだまだ食の衛生管理態勢が進んでいないのが現実だ。あなたの食卓にも並ぶかもしれない危険な中国食品の実態。
◆カット野菜は産地を表示しないことも
農林水産省のデータによると、中国からの野菜の輸入量は非常に多い。2017年に輸入された中国産率の高い「食品・食材」1~5位のはまぐり、まつたけ、落花生、あさり、しいたけで中国産が過半を占める結果となっている。
冒頭の三谷さんのように、野菜高騰時に節約術としてカット野菜を買い求めた人も多いが、そのカット野菜にも多くの中国産野菜が使われているという。
「カット野菜は、キャベツやにんじん、パプリカ、玉ねぎなどがミックスされて販売されているが、1つの品目の割合が50%を超えなければ産地を記載する必要がありません。それを利用し、中国産のものでも記載がないことがあります」(奥窪さん)
厚生労働省は「輸入食品等の食品衛生法違反事例」を発表している。検閲所で審査された輸入食品のうち、食品衛生法の規制に適合しなかった食品の品目が日々リストアップされ、インターネット上でも公開されているのだ。消費者としても、どんな食品でどんな違反があるのかを具体的に把握しておくことは防衛するうえで非常に有用だ。
◆玉ねぎで頭痛・短期記憶障害
玉ねぎでは、「チアメトキサム」という殺虫剤の残留が目立つという。大量に摂取することで頭痛のほか短期記憶障害などを引き起こすことがあるというから恐ろしい。しかも、かなり多く日本に入ってきている。食品の安全に詳しいジャーナリストの小倉正行さんはこう解説する。
「中国産食品のなかでも玉ねぎは安定的に多く日本に入ってきている品目の1つ。国内生産が124万トンに対し、その約2割の28万トンが中国産。そのほとんどが、中国で皮を剥いてから輸入され、ハンバーグや牛丼、オニオンリングなど業務用などで使用される剥き玉ねぎ。衛生的な管理がされていない場合も多いうえ、基準値の3~7倍の残留農薬が検出されたケースがあります」